Ｖと会った後、寝床を探していた時、空き家を見つけた。中に入ってみると当然だがだいぶ散らかっていた。ソファがあるから寝床には丁度いいが、潔癖である私にとっては最悪な場所だ。


『うっひゃァ、酷い所だな！』

「こんなところで寝泊まりするのは気が引ける。少し掃除をしましょう」


そう考え、私は早速散らかり放題の部屋を掃除に取り掛かった。

部屋は広くて、2階の部屋や玄関前や風呂場まで全ての部屋を掃除した。

埃一つなくなるまで隅々に掃除して終わった頃には、日も上がり朝になっていた。


「あら、もう朝？」


少しのつもりが随分長く掃除しちゃった。
まぁ、家の中も随分と綺麗になったし、いいか。

さて、寝よう。徹夜で掃除してたから。


『おい、寝ちまうのか？』

「当たり前でしょ？徹夜したんだから。しばらく寝るわ」


そう言って、私はソファに横になり目を閉じ眠りについた。



ーーー




「んーっ！はぁ･･･」


眠りから覚め、背伸びをしてから今何時か時計を見ると、夕方の４時半を指していた。随分と爆睡したわね。

あれ？何か部屋の家具が新しくなった様な･･･


『よう！やっと起きたか寝坊助！』


そう言って、悪魔が私の影から姿を現した。悪魔の姿はあの黒い沙漠の闇の精霊に少しだけ似ている。手足が短く顔はニンマリとしていて宙に浮いている。こいつは男なのか女なのか分からない謎の存在だ。


『どうだ？新しい家具を置いてみたんだ！
壁と床も新しくしたし、より住みやすくなったはずだぜ』


先程まで床や壁が荒れていたのに、壁や床は新しくなっており、家具も揃っていた。


「いつの間に･･･よくこんな短時間でここまでの家具を集めたものね」

『おう！アタシは有能だからな！
お前のためなら何でもしてやるぜ！』

「そう、ありがとう」


これで住むところにも困らないわね。
それにしても、この家具何処から仕入れてきたのかしら。まぁ、いいわ。

さて、後はお金ね。お金を稼ぐ方法ならもう決めている。ここを拠点として悪魔退治専門の何でも屋を始める。


『何でも屋か、いいじゃん！で、店の名前は決めてるのか？』

「私の思考を読むのをやめてくれないかしら？名前は･･･そうね。"Black desert"なんてどうかしら？」

『黒い沙漠〜？まぁアタシはいいけど、どう言う意味？』

「意味は特にないわ。アンタを見てパッと思い浮かんだのよ。アンタ私がやっていたオンラインゲームのキャラにそっくりだったから。それに、変身した私の姿もね」

『？昨日言ってた漆黒の美女ってヤツか？
へぇ〜、すごい偶然だなぁ』


まぁ、黒い沙漠で違うところといったら、闇の精霊かしら。あっちは精霊でこっちは小悪魔だからね。