神隠しの真実
名前変換
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大昔は名のある神だった。
いつの間にか人に忘れられ、廃れ、俺は置き去りにされた。
いよいよ存在も消えかけそうな時、幼い人の子が目の前に現れた。
どうやら人の子には見えないはずの俺が見えているようだった。
この人の子ならば救ってくれるやもしれないと、淡い期待をした。
「助けてくれるか?」
「どうすれば良いの?」
「力を分けてくれればいい」
「チャクラのこと?」
「そうすれば君を守ってあげる」
心優しいその人の子は力を全てくれた。
それがこの身に流れた瞬間、なんと温かいのか。なんと心地よいのか。
人の子は俺に笑いかけた。
「痛いの痛いのとんでけー」
触れられぬはずのこの手をとり、笑う少女。
その瞬間、この子が欲しいと切望した。
力尽きたその子は眠ってしまった。
もっと力を取り戻したら迎えに来てあげよう。
その時は君を全てから守ってやる。
それからずっと探していた。
でも誰かが邪魔をしている。
神域に徹底的に近づかないようにしてるようだ。
この目じゃ見つけられない。
どうかもう一度、
どうかあの子を、ください。
いや。
ーーーーあの子は、俺のものだ。
だから名前が桜の木の下でうずくまっているのを見つけた時はどれほど歓喜したことか。
やっと来た。
もう離さない。
早くこちら側に来い。
もう二度と離れられないように。
「ごめんー、神社に入るのはやめとくよー」
「え?なんで…」
「昔神社で行方不明になってからおじいちゃんがうるさいんだよね。口答えするとろくに忍術も使えないくせにとかうるさいんだぁ。まぁ、もう死んじゃったんだけどね…」
早くこちらに来てほしいのに名前は境内に入るのを拒んだ。
それからもやんわりと断られ続け、俺は焦燥と苛立ちを覚えた。
だが怖がらせてはいけない。
大切な可愛い子だ。
それに、忍術が使えないのは俺に力を与えてしまったせいだ。今まで苦労させてしまった分思い切り甘えさせてあげなくては。
少しずつこちら側の食べ物を名前に食べさせた。
それに比例して名前が会いにくる頻度も増えていった。
「…帰りたくない」
帰り際、無意識にそう呟いた牡丹に俺は雑面の下で歪んだ笑顔を隠すのに必死だった。
もう少しだ。
早く、早く俺のものになれ。
「大きくなってもお互い好き同士でいられたら結婚しよう?」
ああ。やっとだ!
ふわりと笑う名前に今、俺はいつものように笑えているだろうか?
「言質はとったからな」
気の綱は張られた。
もうお前は俺のものだ。
桜が一斉に散って俺たちを覆い隠す。
もう何も苦しまなくていい。
永遠にずっと一緒だ。
その細腕を掴んで雑面を取り払った。