造花の傀儡
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月隠れを襲撃してから4日が経った。
襲撃に関しては協力者のカゲツと名乗る男の手引きにより成功した。
カゲツは協力する代わりに自身と、ある少女を砂隠れで匿って欲しいと懇願した。そして五年前、風影邸に月隠れの忍びが侵入した理由と朔の国の秘密を教えると。
風影邸に侵入した理由は、初代風影が研究していた「人傀儡」に関する資料を手に入れるためだった。
カゲツは上層部が何故それを欲しがっていたのかまではハッキリとわからないが、おそらく人体の複製の研究が期待通りの結果を得られなかったため、打開策として「人傀儡」の研究に手を出そうとしていたのではないかと言うことだった。
しかしあの初代風影でも人傀儡は完成することは叶わなかったのだ。無駄足だったとしか言いようがない。
しかし恐ろしいことに彼らは人体の複製に成功してしまった。
カゲツの話はそこまでだった。少女との関係や、命をかけた理由まではわからなかった。男は死んでしまった。
「医療部隊や研究班にも少女を見せましたが…一般人と何ら変わりないです。念のため尋問班に…」
「馬鹿者!ただの5歳の幼子にそこまでする必要があるか!」
「ひぇっ!す、すみませんチヨ様…」
風影邸にまた彼らは集まっていた。
三代目風影とチヨ、それに先日保護した少女の担当医だった。
「まぁ、チヨばあの言う通りだな。ここまで調べて何もないのだ」
「三代目…あの子をどうする?カゲツのおかげで月隠れの恐ろしい陰謀も阻止できた。奴の最後の約束くらい守ってやっても良いと思うんじゃが…」
「…そうだな、様子を見ても良いか…。しかし警戒は怠るな。忍びが常駐している施設を私の方から手配して」
「待て、あの子は…名前はワシが預かろう」
「チヨばあが?」
「…サソリが1人で不憫でな。齢も同じようじゃ。仲良くできるのではないかと思ってな」
チヨは先日の名前を思い出していた。
父も母も存在せず、父親というものを想像で語ることしかできない少女の横顔を…。
両親を失った我が孫に重ねてしまった。
「そうか、私とてチヨばあなら安心だ。頼んだぞ」
「御意」
チヨはその足でいったん家に戻った。
そこにはサソリがまた傀儡を1人で操っていた。
「あ!お帰りなさいチヨばあさま!早かったんですね」
「ああ。留守番ばかりさせてすまなかったのう」
操っていた傀儡の人形を放り出して駆け寄ってきた孫の姿を見て、はやりこのまま1人孤独な時間を増やしてはいけないと強く思った。
「サソリ…今から一緒にきて欲しいところがあるのじゃ…」
「今からですか?どこですか?」
「お前に会わせたい子がおる」
チヨはサソリに両親の顔も知らない、身寄りのない少女を砂隠れが保護したと説明した。
そしてうちで面倒をみようと思う、と。
サソリと同じ歳で一緒に遊んでやって欲しいと持ちかけた。
チヨの期待と違い、サソリはそれを聞いてもあまり興味がなさそうだった。
ただチヨが決めたのなら従うといった返事をしただけであった。
突然のことだ、その反応も仕方がないだろうと、ひとまず名前に会わせるため病院を訪れた。
「突然すまんな名前、わしの孫のサソリだ。サソリ、この子が先ほど話した名前じゃ。仲良くしてやっておくれ」
「…」
「…」
2人はその場から動かず、黙ってお互いを見ていた。チヨから見たら2人とも緊張していると言うよりは、ただ反応がない。
サソリはもともと大人びたところがあり落ちついているからだろうか。
名前に関しては更に、むしろおよそ子どもらしくなかった。感情の起伏は見られず笑いも泣きもしない。言葉遣いも大人と同等であった。
2人とも非常に聡かった。
「はじめまして、サソリ様。名前と申します」
「様?変な子だね。本当に僕と同い年なの?よろしくね名前」
襲撃に関しては協力者のカゲツと名乗る男の手引きにより成功した。
カゲツは協力する代わりに自身と、ある少女を砂隠れで匿って欲しいと懇願した。そして五年前、風影邸に月隠れの忍びが侵入した理由と朔の国の秘密を教えると。
風影邸に侵入した理由は、初代風影が研究していた「人傀儡」に関する資料を手に入れるためだった。
カゲツは上層部が何故それを欲しがっていたのかまではハッキリとわからないが、おそらく人体の複製の研究が期待通りの結果を得られなかったため、打開策として「人傀儡」の研究に手を出そうとしていたのではないかと言うことだった。
しかしあの初代風影でも人傀儡は完成することは叶わなかったのだ。無駄足だったとしか言いようがない。
しかし恐ろしいことに彼らは人体の複製に成功してしまった。
カゲツの話はそこまでだった。少女との関係や、命をかけた理由まではわからなかった。男は死んでしまった。
「医療部隊や研究班にも少女を見せましたが…一般人と何ら変わりないです。念のため尋問班に…」
「馬鹿者!ただの5歳の幼子にそこまでする必要があるか!」
「ひぇっ!す、すみませんチヨ様…」
風影邸にまた彼らは集まっていた。
三代目風影とチヨ、それに先日保護した少女の担当医だった。
「まぁ、チヨばあの言う通りだな。ここまで調べて何もないのだ」
「三代目…あの子をどうする?カゲツのおかげで月隠れの恐ろしい陰謀も阻止できた。奴の最後の約束くらい守ってやっても良いと思うんじゃが…」
「…そうだな、様子を見ても良いか…。しかし警戒は怠るな。忍びが常駐している施設を私の方から手配して」
「待て、あの子は…名前はワシが預かろう」
「チヨばあが?」
「…サソリが1人で不憫でな。齢も同じようじゃ。仲良くできるのではないかと思ってな」
チヨは先日の名前を思い出していた。
父も母も存在せず、父親というものを想像で語ることしかできない少女の横顔を…。
両親を失った我が孫に重ねてしまった。
「そうか、私とてチヨばあなら安心だ。頼んだぞ」
「御意」
チヨはその足でいったん家に戻った。
そこにはサソリがまた傀儡を1人で操っていた。
「あ!お帰りなさいチヨばあさま!早かったんですね」
「ああ。留守番ばかりさせてすまなかったのう」
操っていた傀儡の人形を放り出して駆け寄ってきた孫の姿を見て、はやりこのまま1人孤独な時間を増やしてはいけないと強く思った。
「サソリ…今から一緒にきて欲しいところがあるのじゃ…」
「今からですか?どこですか?」
「お前に会わせたい子がおる」
チヨはサソリに両親の顔も知らない、身寄りのない少女を砂隠れが保護したと説明した。
そしてうちで面倒をみようと思う、と。
サソリと同じ歳で一緒に遊んでやって欲しいと持ちかけた。
チヨの期待と違い、サソリはそれを聞いてもあまり興味がなさそうだった。
ただチヨが決めたのなら従うといった返事をしただけであった。
突然のことだ、その反応も仕方がないだろうと、ひとまず名前に会わせるため病院を訪れた。
「突然すまんな名前、わしの孫のサソリだ。サソリ、この子が先ほど話した名前じゃ。仲良くしてやっておくれ」
「…」
「…」
2人はその場から動かず、黙ってお互いを見ていた。チヨから見たら2人とも緊張していると言うよりは、ただ反応がない。
サソリはもともと大人びたところがあり落ちついているからだろうか。
名前に関しては更に、むしろおよそ子どもらしくなかった。感情の起伏は見られず笑いも泣きもしない。言葉遣いも大人と同等であった。
2人とも非常に聡かった。
「はじめまして、サソリ様。名前と申します」
「様?変な子だね。本当に僕と同い年なの?よろしくね名前」