造花の傀儡
名前変換
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男が言った通り、目が覚めるとそこは見たこともない部屋。知らない人が3人いた。
白い壁に白いベッド。そこに私は寝かされていた。
あそこと同じで白い服を着た人もいた。
まだ私が目を覚ましたのに気づいてないようで何か話し込んでいた。
「三代目、やはり殺した方が…月隠れの罠かもしれません。何か仕掛けられているかも」
「…あの男はこの少女が国の秘密の正体だと言っていた。本当なら恐ろしいことだ」
「人間を複製する技術…信じられんがあってはならんことじゃ」
「しかし…もし本当なら、我々も死んだ優秀な忍びをーー」
「よさぬか!人間風情が神の御技を越えようなど…愚かな!」
がさっ。
ベッドから起き上がると話していた3人は一斉にこちらを見た。
「す、すまんのぅ。ワシが大きな声を出して起こしてしまったか。気分はどうじゃ?」
年配の白髪の女性がこちらに近づいてきた。
他の2人は部屋から無言で出ていった。
「ここはどこですか?」
「…ここは砂隠れの里じゃ。わしはチヨというただのばあさんじゃ。安心しておくれ。…月隠れで何があったか、お主は覚えておるか?」
優しい笑顔を浮かべて話しかけてくれた。
そんな顔で話しかけられたのは初めてだった。
白い服の人たちは、私の目もろくに合わせてはこなかった。
「大きな音がして…男の人に逃げろと言われて…あまり覚えていません…」
「そうか…そうか…。実はな、落ち着いて聞いてほしいんじゃが…」
チヨ様が言うには月隠れの里はほぼ壊滅状態。
月影は行方知れず。
私がいたあの施設は情報の漏洩を恐れて里の者が自ら爆破したようだ。
そして私を逃した男は、砂隠れの忍びと合流する前に見つかり、命からがらたどり着いたが傷が深く、亡くなったそうだ。
「辛いじゃろう…あの男は父親ではなかったのか?」
「いいえ、名前も知りません。顔も暗かったのでわからないほどです」
だが安心する声だったことは思い出した。
「ならば何故あの男は命がけでお主を逃したのだ?」
「わかりません…私は人から作られた生命体なので…ただ…」
「?」
「父という存在は…彼のような人のことを言うんでしょうか…」
チヨ様は私をただ見ている。
なにを考えているのかはわからなかった。
「そうじゃな…きっとあの男はおぬし…名前を守れて本望じゃったろう」
「え?名前って…?」
「ん?ああ、すまんな。名前はその男から聞いて知っておったのじゃ。おぬしの名前は名前じゃと言っておった」
私は「168」としか呼ばれたことがなかった。
でも、「名前」…どこかで聞いたことのある名前だった。
「…そうでしたか…」
チヨ様はその後もう少し寝るようにと私に言い聞かせて部屋を出ていった。
これから私はどうなるのだろう?
もう“検査”はしなくていいのだろうか?
失敗作は解剖されて捨てられるのだろうか?
そうなったらーーそれが私の“死”というものになるのだろうか?
もう誰も私をここから連れ出してくれる人はいない。
白い壁に白いベッド。そこに私は寝かされていた。
あそこと同じで白い服を着た人もいた。
まだ私が目を覚ましたのに気づいてないようで何か話し込んでいた。
「三代目、やはり殺した方が…月隠れの罠かもしれません。何か仕掛けられているかも」
「…あの男はこの少女が国の秘密の正体だと言っていた。本当なら恐ろしいことだ」
「人間を複製する技術…信じられんがあってはならんことじゃ」
「しかし…もし本当なら、我々も死んだ優秀な忍びをーー」
「よさぬか!人間風情が神の御技を越えようなど…愚かな!」
がさっ。
ベッドから起き上がると話していた3人は一斉にこちらを見た。
「す、すまんのぅ。ワシが大きな声を出して起こしてしまったか。気分はどうじゃ?」
年配の白髪の女性がこちらに近づいてきた。
他の2人は部屋から無言で出ていった。
「ここはどこですか?」
「…ここは砂隠れの里じゃ。わしはチヨというただのばあさんじゃ。安心しておくれ。…月隠れで何があったか、お主は覚えておるか?」
優しい笑顔を浮かべて話しかけてくれた。
そんな顔で話しかけられたのは初めてだった。
白い服の人たちは、私の目もろくに合わせてはこなかった。
「大きな音がして…男の人に逃げろと言われて…あまり覚えていません…」
「そうか…そうか…。実はな、落ち着いて聞いてほしいんじゃが…」
チヨ様が言うには月隠れの里はほぼ壊滅状態。
月影は行方知れず。
私がいたあの施設は情報の漏洩を恐れて里の者が自ら爆破したようだ。
そして私を逃した男は、砂隠れの忍びと合流する前に見つかり、命からがらたどり着いたが傷が深く、亡くなったそうだ。
「辛いじゃろう…あの男は父親ではなかったのか?」
「いいえ、名前も知りません。顔も暗かったのでわからないほどです」
だが安心する声だったことは思い出した。
「ならば何故あの男は命がけでお主を逃したのだ?」
「わかりません…私は人から作られた生命体なので…ただ…」
「?」
「父という存在は…彼のような人のことを言うんでしょうか…」
チヨ様は私をただ見ている。
なにを考えているのかはわからなかった。
「そうじゃな…きっとあの男はおぬし…名前を守れて本望じゃったろう」
「え?名前って…?」
「ん?ああ、すまんな。名前はその男から聞いて知っておったのじゃ。おぬしの名前は名前じゃと言っておった」
私は「168」としか呼ばれたことがなかった。
でも、「名前」…どこかで聞いたことのある名前だった。
「…そうでしたか…」
チヨ様はその後もう少し寝るようにと私に言い聞かせて部屋を出ていった。
これから私はどうなるのだろう?
もう“検査”はしなくていいのだろうか?
失敗作は解剖されて捨てられるのだろうか?
そうなったらーーそれが私の“死”というものになるのだろうか?
もう誰も私をここから連れ出してくれる人はいない。