造花の傀儡
名前変換
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今回の任務は霧隠れの里に潜入していた暗部の回収だ。どうも間者だと感づかれてきているようで雲行きが怪しくなってきた。
救出を最優先に少数精鋭で動くこととなった。
「名前、十分気を付けろ。国境まで戻れれば後は大丈夫だ」
「はい、まだ霧隠れも確証を掴めていないようなので、今なら戦闘にならずに戻れると思います」
とはいえ敵国の陣地まで踏み入るのだ。少数精鋭で連携の取れたメンバーでなくてはならない。それに優秀な指揮官が必要な任務だ。
今回は副隊長自ら作戦に参加することとなった。
メンバーは名前が小隊長をしていた時の馴染みのあるメンバーだ。連携も問題ないだろうとの人選だった。
しかしサソリはなんとも言えない不安があった。
確かに危険な任務だ…だがもっと危険度の高い任務だって今まで何度もあったはずなのに。
昨日サソリが名前にかけた言葉は本当に言いたかったことではなかった。
あの後彼女は俯いて、いつもの調子で言った。
ーー約束しましたもんね。
俯いているその顔はどんな顔をしていたのだろう。
サソリはその約束が彼女を縛るためであって欲しくはなかった。
名前にとってその約束は今、どんな想いで守ってくれているものなのか…
名前たち小隊はサソリに見送られ朝日が昇らぬうちに国を発った。
「なぁ名前…戻ってきたらお前にーー」
見えなくなった名前の背中に話しかける。
もう約束に縋り付く自分はやめたかった。
しかし…
「…名前が…?」
名前たちが出発して4日目。
サソリも任務を終えて本部に戻ってきた時だ。
小隊は無事に国境に辿り着いたが、途中追手が迫ってきており、名前が足止めを引き受けたと言う報告を聞かされた。
「それで?小隊が砂の国境に戻ってきたのはいつだ?」
「つい一刻ほど前です!」
「すぐに任務が入っていない第四、第七部隊と連絡を取れ。俺と出る」
「はい!」
サソリは信じた。名前は副隊長を務めあげれるほどの実力の持ち主だ。この窮地も見事切り抜けられると。
だが、見送った時のあの不安な気持ちが蘇る。
名前の背中が遠のいてくーー
「名前、すぐ行くーー」
△
帰還した小隊の情報に従い、名前と別れたであろう場所を目指して走った。辺りの森は嫌に静まり返っていた。
水の国の国境を超えてからしばらく経ったその時、わずかだが血の匂いがした。
嗅ぎ慣れたその匂いはだんだんと濃くなっていき、すぐに目視できるほどになった。
「た、隊長…」
「…」
そこには夥しい血の池、そこに沈む霧隠れの忍びの亡骸があった。
「…名前…」
真っ先に名前の姿を探す。
しかし気配はなかった。
「どこにーー」
「隊長っ!」
サソリは声のした方へ走る。
嫌な汗が背中を這って流れる。
そこには名前の傀儡の一華が残されていた。
所々破損し、事切れたように倒れていた。
しかしそのそばにも名前の姿はなかった。
いくら探しても遺体も見つからなかった。
名前は、消えてしまった。
救出を最優先に少数精鋭で動くこととなった。
「名前、十分気を付けろ。国境まで戻れれば後は大丈夫だ」
「はい、まだ霧隠れも確証を掴めていないようなので、今なら戦闘にならずに戻れると思います」
とはいえ敵国の陣地まで踏み入るのだ。少数精鋭で連携の取れたメンバーでなくてはならない。それに優秀な指揮官が必要な任務だ。
今回は副隊長自ら作戦に参加することとなった。
メンバーは名前が小隊長をしていた時の馴染みのあるメンバーだ。連携も問題ないだろうとの人選だった。
しかしサソリはなんとも言えない不安があった。
確かに危険な任務だ…だがもっと危険度の高い任務だって今まで何度もあったはずなのに。
昨日サソリが名前にかけた言葉は本当に言いたかったことではなかった。
あの後彼女は俯いて、いつもの調子で言った。
ーー約束しましたもんね。
俯いているその顔はどんな顔をしていたのだろう。
サソリはその約束が彼女を縛るためであって欲しくはなかった。
名前にとってその約束は今、どんな想いで守ってくれているものなのか…
名前たち小隊はサソリに見送られ朝日が昇らぬうちに国を発った。
「なぁ名前…戻ってきたらお前にーー」
見えなくなった名前の背中に話しかける。
もう約束に縋り付く自分はやめたかった。
しかし…
「…名前が…?」
名前たちが出発して4日目。
サソリも任務を終えて本部に戻ってきた時だ。
小隊は無事に国境に辿り着いたが、途中追手が迫ってきており、名前が足止めを引き受けたと言う報告を聞かされた。
「それで?小隊が砂の国境に戻ってきたのはいつだ?」
「つい一刻ほど前です!」
「すぐに任務が入っていない第四、第七部隊と連絡を取れ。俺と出る」
「はい!」
サソリは信じた。名前は副隊長を務めあげれるほどの実力の持ち主だ。この窮地も見事切り抜けられると。
だが、見送った時のあの不安な気持ちが蘇る。
名前の背中が遠のいてくーー
「名前、すぐ行くーー」
△
帰還した小隊の情報に従い、名前と別れたであろう場所を目指して走った。辺りの森は嫌に静まり返っていた。
水の国の国境を超えてからしばらく経ったその時、わずかだが血の匂いがした。
嗅ぎ慣れたその匂いはだんだんと濃くなっていき、すぐに目視できるほどになった。
「た、隊長…」
「…」
そこには夥しい血の池、そこに沈む霧隠れの忍びの亡骸があった。
「…名前…」
真っ先に名前の姿を探す。
しかし気配はなかった。
「どこにーー」
「隊長っ!」
サソリは声のした方へ走る。
嫌な汗が背中を這って流れる。
そこには名前の傀儡の一華が残されていた。
所々破損し、事切れたように倒れていた。
しかしそのそばにも名前の姿はなかった。
いくら探しても遺体も見つからなかった。
名前は、消えてしまった。