造花の傀儡
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両親が死んだ。俺が4つの時だ。
まだ幼かった俺にチヨばあ様は真実を伝えるのを躊躇った。2人は長期の任務になり暫く帰れなくなったと、俺に言って聞かせていた。
「チヨばあ様、父様と母様はまだ帰ってこないのでしょうか?」
「そうじゃのー、まだ任務があるが故、、、」
今思えば、俺は幼いながらも少しずつわかっていた。
「大丈夫じゃ、このチヨがついておる」
両親はもう帰ってこないのだと。
「そうじゃサソリ、わしと一緒におぬしも傀儡を作ってみんか?」
2人には、もう会えない。
「はい!チヨばあ様!」
この世界はあまりに孤独だった。
△
第三次忍界大戦。
各々の忍びの里が互いに国境を、民を、資源を脅かされまいと必死に命を削りあっていた。
両親の命はその戦火に飲み込まれた。
サソリは“父”と“母”を模して傀儡を作った。
その二体の傀儡に抱きしめられ体を丸くしていた。
こうすれば2人は変わらず自分のそばにいてくれる。
今まで通り愛してくれる。
壊れたら直せばいい。
いなくなったりもしない。
プツリと操っていた糸が切れ、“父”と“母”の傀儡はその場に力なく倒れた。
そんな孫の姿を、祖母であるチヨは扉の向こう側からそっと見ていた。
「チヨ、其方の孫の…サソリと言ったか?どうしておる?両親が亡くなってもう一年も経つな」
風の国を治める三代目風影の屋敷にチヨはいた。
「…本来なら寂しさで泣いたり、周りに甘えるようなもんなんだろうね。怖いくらいに聞き分けが良くて傀儡ばかり弄っているよ」
「…そうか、チヨが側にいてやれれば支えになるだろうに。それすらさせてやれないのをどうか許してほしい。チヨにとっても辛いだろう…」
「こんな時代じゃからのう。あの子も大きくなればきっとわかってくれるはずじゃ」
チヨは砂隠れの里でも屈指の傀儡師で今までも数々の戦果を上げてきた忍びであった。
現在は前線に出るよりもこうして相談役として風影のそばにいることが多かった。
すると扉がノックされ部屋に数人の忍びが入室してきた。それをみた三代目は言った。
「揃ったな。早速今日の本題だ。月隠れの里の場所がわかった」
「なんと!あれだけ以前探していたのに今になって…」
「情報提供者が現れたのだ」
「では、またあそこと戦争になるのでしょうか」
「前回は木の葉とやり合って弱っているところを攻め込まれたからな…今なら充分準備はできるだろう」
「とはいえ相手も無傷では済まなかったじゃろう。もともと大した兵の数もいなかった…。もう放っておいても問題ないのではないかのぉ?」
砂隠れと月隠れは五年前に一度戦になった。
月隠れはもともと余所者を寄せ付けず、他里にも全く干渉しない謎の多い里であった。
術か何かで結果を張り、その場所は今日までわからなかった。
しかし突然、木の葉との戦闘が激化しているところを後ろから攻め込まれた。
理由は不明。
一つの少数部隊が隙をついて風影邸に侵入したが、三代目に呆気なく始末された。
何かを探している様子だった。
「やつらには何か目的があったはずだ…犠牲を承知でわざわざここまで来た理由…私の命以外の何かがーー」
「それがハッキリするまでは奴らを野放しにはできませんな。奴らには多くの忍びが犠牲になった。向こうが勘付く前に攻め入りましょう」
「作戦は私とチヨで立てる。補佐と各部隊への通達を他の者で頼む」
「御意」
ここは風の国、砂漠に覆われた過酷な世界。
流れる血も、砂に吸い尽くされる。
まだ幼かった俺にチヨばあ様は真実を伝えるのを躊躇った。2人は長期の任務になり暫く帰れなくなったと、俺に言って聞かせていた。
「チヨばあ様、父様と母様はまだ帰ってこないのでしょうか?」
「そうじゃのー、まだ任務があるが故、、、」
今思えば、俺は幼いながらも少しずつわかっていた。
「大丈夫じゃ、このチヨがついておる」
両親はもう帰ってこないのだと。
「そうじゃサソリ、わしと一緒におぬしも傀儡を作ってみんか?」
2人には、もう会えない。
「はい!チヨばあ様!」
この世界はあまりに孤独だった。
△
第三次忍界大戦。
各々の忍びの里が互いに国境を、民を、資源を脅かされまいと必死に命を削りあっていた。
両親の命はその戦火に飲み込まれた。
サソリは“父”と“母”を模して傀儡を作った。
その二体の傀儡に抱きしめられ体を丸くしていた。
こうすれば2人は変わらず自分のそばにいてくれる。
今まで通り愛してくれる。
壊れたら直せばいい。
いなくなったりもしない。
プツリと操っていた糸が切れ、“父”と“母”の傀儡はその場に力なく倒れた。
そんな孫の姿を、祖母であるチヨは扉の向こう側からそっと見ていた。
「チヨ、其方の孫の…サソリと言ったか?どうしておる?両親が亡くなってもう一年も経つな」
風の国を治める三代目風影の屋敷にチヨはいた。
「…本来なら寂しさで泣いたり、周りに甘えるようなもんなんだろうね。怖いくらいに聞き分けが良くて傀儡ばかり弄っているよ」
「…そうか、チヨが側にいてやれれば支えになるだろうに。それすらさせてやれないのをどうか許してほしい。チヨにとっても辛いだろう…」
「こんな時代じゃからのう。あの子も大きくなればきっとわかってくれるはずじゃ」
チヨは砂隠れの里でも屈指の傀儡師で今までも数々の戦果を上げてきた忍びであった。
現在は前線に出るよりもこうして相談役として風影のそばにいることが多かった。
すると扉がノックされ部屋に数人の忍びが入室してきた。それをみた三代目は言った。
「揃ったな。早速今日の本題だ。月隠れの里の場所がわかった」
「なんと!あれだけ以前探していたのに今になって…」
「情報提供者が現れたのだ」
「では、またあそこと戦争になるのでしょうか」
「前回は木の葉とやり合って弱っているところを攻め込まれたからな…今なら充分準備はできるだろう」
「とはいえ相手も無傷では済まなかったじゃろう。もともと大した兵の数もいなかった…。もう放っておいても問題ないのではないかのぉ?」
砂隠れと月隠れは五年前に一度戦になった。
月隠れはもともと余所者を寄せ付けず、他里にも全く干渉しない謎の多い里であった。
術か何かで結果を張り、その場所は今日までわからなかった。
しかし突然、木の葉との戦闘が激化しているところを後ろから攻め込まれた。
理由は不明。
一つの少数部隊が隙をついて風影邸に侵入したが、三代目に呆気なく始末された。
何かを探している様子だった。
「やつらには何か目的があったはずだ…犠牲を承知でわざわざここまで来た理由…私の命以外の何かがーー」
「それがハッキリするまでは奴らを野放しにはできませんな。奴らには多くの忍びが犠牲になった。向こうが勘付く前に攻め入りましょう」
「作戦は私とチヨで立てる。補佐と各部隊への通達を他の者で頼む」
「御意」
ここは風の国、砂漠に覆われた過酷な世界。
流れる血も、砂に吸い尽くされる。