左手のゆびきり
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「ネズミがうろちょろと我が姫を連れ回しおって…」
風間千景。
薄暗がりから現れたその姿は、角が生えまさしく鬼そのもの。
「下がっていろ」
ーーーだめ。
だめなのに、
あなたを止める言葉が、思いつかない。
風間は鼻で笑った。
「お前に何ができる?ちっぽけな人間の分際で」
「……行く」
刀の柄に手を遣り、
刹那。
斎藤さんの居合が閃いた。
けれど。
「どうした、届いていないぞ?」
「っ…!」
風間はいとも容易くその切先を避けたかと思うのも束の間、斎藤さんの脇腹に切り傷まで加えた。
「くっ…!!」
鮮血が散る、
けれどまた、居直って。
「ーーー無駄だ」
「ぐあっ…!」
刃向かうたびに切り刻まれていく、斎藤さんの身体。
まるで弄ぶように繰り返されるその行為に、私の鼓動はどんどん速くなっていく。
もう。
「もう…やめて…っ!!」
どちらに発したとも言えない声が口を突いて、出てくるけれども。
ボロボロになりながら、斎藤さんは目を爛々と光らせて風間を睨めつけているだけ。
風間はそれを愉しそうに嗤うだけ。
「ごめんなさい」