無口な話し相手
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「齊藤さん、私」
夜。
非番だという齊藤さんが、私の部屋の前にいた。
「なんだ?」
「…未来から来たなんていう私を、こうして匿ってくれたこと」
返事はない。
でも、ちゃんと聞いてくれているのはわかる。
問題なのは、私がうまく話せないだけだ。
「それと、未来から来たことを絶対に言うな、って言ってくれたこと」
ここでは見つかるわけもない人を探す。
それを齊藤さんは、拾ってくれたんだ。
それから。
天才剣士の沖田総司は、死んでしまうこと。
そしていつかは、新選組だってなくなってしまうこと。
土方さんも原田さんも、藤堂くんも新八さんも。
齊藤さんだって、当然死んでしまうこと。
「今ならちょっとだけ、わかりました」
涙が出てきて、膝に顔を埋める。
「…ありがとう」
障子にかかる影が少し小さくなり、
私はその陰に、そっと背中を合わせた。
「来年も、私がここにいたら」
少しだけ、
思い出して笑ってしまう。
「あんな立ち見じゃなくて、ちゃんとお花見しましょうね」
ああ。
小さいその返事に、私はどれだけ。
救われただろうか。