無口な話し相手
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結局、元の時代に帰る手掛かりは一つもつかめないまま。
それから数日が過ぎてしまった。
「全然読めんし。なにこの本」
つい口を突いて出たひと言に、襖の外から鼻で笑う声が聞こえる。
この声は。
「僕でも文字は読めるのに。君ってバカだったりする?」
「バカじゃないです~」
沖田総司。
まあ何とかあれから炊事場のお手伝いとかはさせてもらえるようになったんだけど、
隙あらばこうやって私に絡みに来るのもどうなのか。
「ニャ~」
こいつがかわいい猫ちゃんに好かれたり近所の子どもに好かれたりしてるのは、たぶんレベルが同じだからだ。
その沖田さんとつまらない喧嘩ばっかりしてる自分は、まあ高校生なので合わせてるだけ。
「沖田さん~」
「なに?」
「皆さんって普段、どんなお仕事してるんですか?」
なんというか、沖田さんとは一番話しやすいような気がする。
けど。
ーーーけど、の後のことを、私は無理やり頭から追い払った。
「巡察とかはまあ、小競り合いの仲裁したり、盗人捕らえたり…なんだろうね、僕もわかんないや」
「ふ~ん」
まさしく当時、というか現在の警察みたいだ。
「君の飼い主さんも見つかるといいんだけどね」
「ニャ~」
猫に言ったんだか私に言ったんだかわからない物言いが、
だから猫に好かれるのかな、なんて思ったりした。
刀を持って、人を斬って、斬られて。
そういう事実は少なくとも、私の中に実感として無い。
けど、
沖田総司は。
ここに来る前から、知っている。