左手のゆびきり
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みんな、散り散りになった。
新選組は火を見るよりも明らかに追い立てられて、
それで。
こうなったのもなぜなのか、
答えを出せる人なんていないように思う。
でも、結局こうなった。
たくさんの分かれ道の先に、
私と斎藤さんはまだ、分かれていないだけだ。
原田さんも新八さんも、自分の道を。
私たちが目指した先は、会津。
そしてその会津でさえ、
土方さんたちとでさえ、道は分かれた。
ここが死地になるとか、
散々言われたけど。
「私は私が居たいところに居るんです」
きっぱりと言い切ると、斎藤さんは目を瞠った。
あの土方さんと、斎藤さんでさえ。
自分の正しいと思う道を行くならば、それはどこかで絶対分かれ道になるんだと、嫌でも思い知る。
「ねえ、斎藤さん」
私は夜風に当たって黙っていた斎藤さんの横に、腰を下ろした。
無言なのは、私が土方さんについていかなかったから怒っているのか、
それは想像してもわからない。
「私ね、思ったんです」
関係なく、私は話した。
だって、この無口な人に話しておかないと、
きっと後悔するから。
「私が鬼の姫っていうの、多分その末裔だからなんです」
「…っ」
息を呑む音が聞こえるけど、これは私の独り言。
「ほら、歴史でよくあるじゃないですか。鈴鹿御前とか、鬼の姫って言われた人。私の先祖がそれなんです。それで」
だってね、
話しておきたい。
「何故か今、その力を持って未来からここに来てて…でも、それももうすぐ終わるんだと思います」
その時が来たらどうなるのかわからない。
私は消えるのか、
別の誰かが私になるのか、私は元の時代に戻れるのか。
知りようがないのだ。
「ここに来たときから、身に覚えのない痣ができていて。でもそれ、もう消えかかってるんです。それが消えたら、私は多分、いなくなる」
なんでだろう、
切ないのに、やっと言えたなんて思ってスッキリしたりもしている。
斎藤さんは逡巡したのち、口を開いた。