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天霧さんが語ったのは、『鬼』というものの話と、なぜ新選組と敵対しているかという話、そして。
「そこで、貴女だ」
―ーー私?
「風間が貴女を欲していることは重々承知でしょうが……」
その通りだ、あの変態誘拐犯。
「それには理由があるのです」
「理由?」
正直、今すぐにでも井上さんたちのところに帰りたい。
けれど、私が『鬼』だということ、それは気にせずにはいられなかった。
「数は少ないが女鬼は今も存在している。ただし、貴女ほどの血の濃い女鬼など…百瀬家の姫など、この時代に現存しているはずがない。正直なところ、私でさえその理由が知りたい」
「……そんなの」
齊藤さんは、諫めるでも止めるでもなく静かに聞いていた。
「私のほうが知りたいです…っ!」
なんで私、なんでこの時代、なんでこんな力。
「でも仕方ないの!私はここにいるからここの大事なものを守る、大事な人たちを守る、それしかできないの!」
みんなと違って藩がどうだとか、何派がどうだとか、義理がどうだとかそんなの私にはない。
でも、大切なものを守るためなら、
「……天霧さん、さようなら!また私の大事なものを奪おうとするなら、いくらだってこの力を使ってやるから!」
行きましょ、齊藤さん!
そう告げて、私は齊藤さんの背を押した。
弾かれたように駆け出した齊藤さん、その揺れる長い髪を見て。
やっぱり大事だと、思ったんだ。
「…あんたは」
ぼそりと、齊藤さんが呟いた。
「強いな」
「…へ?みなさんには負けますって!私は感情で生きてるだけなんで!!」
走りながら答えると、
本当に本当に小さく、
齊藤さんがくすりと笑う声が聞こえたのだった。