あさきゆめみし
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不貞腐れたような私に、斎藤さんは困っただろうか。
結局屯所の前まで繋いでいてくれた手の間は、この寒いのに汗までかいていた。
私も嫌いになった、晦日が来る。
「かあーーーっ!!雑煮が喰いてえ!!」
帰ってくるなり、新八さんはバカでかい声で叫んだ。
「お雑煮、いいですよねー…」
「おいおい、まだ気が早すぎねえか?」
原田さんが苦笑する。
「―――作っちゃいましょうか」
私は言った。
「……へえぇ!?」
なぜだか一番驚いたのは、言い出しっぺの新八さん。
「……だめですか?」
「いや、ダメってことはねえ…むしろ大歓迎だ!!喰おう!!作ってくれ!!」
私。
恐かったんだ。
明日、果たせなくなる約束をするのが。
「………呆れてます?」
黙って横でほうれん草を茹でてくれている斎藤さんに、私は呟いた。
「そうではない」
素っ気なく答えるから、きっと呆れているんだろう。
「………私、ほんのちょっとだけど…斎藤さんの気持ち、わかった気がするんです」
ほとんど独り言のように、私は呟いていた。
「…何だ?」
「先の話をするのは辛い、ってことと……それでも約束してくれた斎藤さんは、優しいってこと」
もう、
それだけわかれば充分だ。
ひしひしと感じる、危なげな予感。
新八さんに言われたときにわかった。
こんなにも、明日や明後日の話が恐いなんて。
だって明日私も死ぬかもしれないし、諦めにも似ているけれど。
斎藤さんは約束してくれたでしょう?
「だから、ちょっと早いけど誕生日パーティーです」
「ぱー…てぃー…?」
「お祝い、ってことです」
「……ふむ」
「美味しいお雑煮、作りますから」
待ち焦がれるお雑煮は、食べられる時に食べてしまおう。
新しい夢ができたら、死ぬ前に叶えてしまおう。
「―――お前は、強いのだな」
斎藤さんがぽつりと言う。
「まさか。斎藤さんも知ってるでしょう、私は泣き虫だって」
おどけてそう言う今にも、涙は抑えきれそうにないのに。
「いや―――未来を知っているのは、お前だけだろう」
静かに話す、その言葉は言わないで欲しかったのに。