あさきゆめみし
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『山口さん』に間者として手紙を届けに行くこと、数回。
前にそのポーカーフェイスを見習いたいと言ったら、「よくわからんが絶対に向かないんじゃないか」と言われた。
齊藤さんの言う通り、私にポーカーフェイスは絶対に向いてない。
去年、言っていたっけ。
晦日以外の冬が好きだって。
ーーー斎藤さんは、帰ってきた。
決して幸せではない冬は、それでも日一日と巡るのだ。
斎藤さんの嫌いな晦日も、日一日と近づく。
嫌になりそうだった。
ーーー平助くん。
もう戻らない、大切な人。
「……何を企んでいる」
斎藤さんは、咎めるでもなく呆れたような視線を私に送った。
「べつに、なんでも」
何でもない。
「ねえ、斎藤さん」
静かに呼ぶ声は消え入りそうなほど、
京の街中は静かだ。
斎藤さんの嫌いな雑踏も無くて、
きっと斎藤さんは今年だけは晦日以外も嫌いなんだろうなと思う。
「ちょっとだけ、手、繋いでくれません?」
私が言った途端に、びくんと斎藤さんの左手が跳ねた。
「……何故だ」
答える声が上擦っているのを、長く一緒にいる私は聞き逃さない。
―――聞き逃さないだけで、何をするわけでもないのだけど。
「お願いします、今日は」
恐い。
守れるなんて思わないけど、
あなたの温かい手を握っていたい。
王政復古の大号令。
今や私たちは、
周りに敵しかいない、ようだから。