ある日の白い吐息
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「わっ」
寒い寒いと屯所に辿り着いて、すぐのことだった。
きっと気が緩んだんだろう、
私は庭の真ん中で盛大に足を滑らせた。
「……大丈夫か」
呆れと面白さ半々で、ふっと笑った斎藤さんが手を差し伸べてくれる。
「折角ここまで注意して歩いてきたのにな」
「うう……」
尤もなことを指摘されて、私は返す言葉がなくなる。
じとり、手のひらやお尻、足元、色んなところが湿ってしまって、不快を通り越してどうでもよくなってくきた。
「まあ……こうなったのも折角じゃないですか?」
「……?」
よいしょっ、と身を起こして。
こうなってしまえばーーー
すうっ、と吸い込む空気はきんきんに冷えていて、冷たさで咳き込みそう。
「おーきーたーさーーーん!!!」
「なっ……」
斎藤さんが隣でびっくりしてる。
「へーーすけくーーーん!!!」
「お、おい……」
しーん。
叫んだ直後は雪に飲まれる、私の声。
そうしてしばらく経ったとき。
「……なぁに」
「おう、呼んだか春っ!?」
まるで見計らったかのように同じタイミングで、沖田さんと平助君が中庭に顔を覗かせた。
「雪だし!!遊びましょう!!」
傘も放りだして、私は手を振った。
俺は失礼する、なんて言って薄情にも逃げようとする斎藤さん。
ノリノリで駆けてくる平助君。
子供みたいだね、って溜め息をつきながら、どことなく楽しそうな沖田さん。
結局始まるのは―――
「一君、なんで俺ばっか狙うんだよ!?」
「斎藤さんすご―――ぶっ」
「春、よそ見をするな!」
「あははは、春#ちゃんすっごい顔!」
「総司…ちょこまかと!」
「っ…斎藤さん、二人で狙い打ちしましょう!」
「む……では俺の合図で……いくぞ!」
皆してびちょびちょに汚れた後は、
「…っくしゅん」
「バカは風邪をひかないと聞いたが」
「む……ひいてませんよ?」
「どうだか、な」
火鉢のそばで餅を焼いたりして。
きっと来年も、その次も、
皆と一緒に居たかった。