秘密
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私の手は完全に止まっていた。
「斎藤さん、は…」
にやにや。
沖田総司がそんな効果音付きの顔で私を見ているのに、言葉が見つからない。
「…何が良いのか、よくわかりません」
私は何故か頬が熱くなるのを感じながら言った。
暗くてよかった、赤くなってるのを見たら沖田さんは私をからかうだろう、今以上に。
「背も、そんなに高くないし…無口だし、何考えてるかわかんないし…」
うんうん。
沖田さんが頷く。
「でもなんか…たまに優しかったり、ちょっと天然だったりして…」
うわぁ。
なんで他人の説明してるのにこんなに照れてるんだ、私は。
「っあー…こういうの、なんて言うのかわかんない!!」
私が一人悶絶していると、急に沖田さんは身体を起こした。
「……なんかさ」
す、と彼の形の良い唇が歪む。
「妬けるなあ、それ」
私は半ば呆けていた。
顎に指の感触があり顔が間近にあることにはっと気づいた私を、僅かな震えで気づいたのか、沖田さんはふいと身体を離した。
「……なんてね。まあ君のいた国でもこの国でも、色々と変わらないみたいだけど」
彼は軽く言うと、ぽんと私の頭に手を置いた。
「あんまり夜更かししちゃ駄目だよ、春ちゃん」
そう言うと、枝だけになった葡萄をぷらぷらと振りながら背を向けて行ってしまった。
―――なんだったんだろう、今のは。
涼みに来たっていうのにほっぺが熱いよ、沖田さん。
それから私はしばらく一人で、斎藤さんって私の時代では何て言うんだろう、なんて考えてみた。
彼の無事を、願いながら。