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「……さん」
ふと、そんな声で目が覚めた。
目が覚めたというのはつまり、眠っていたということで。
「斎藤さん」
今度ははっきりと聞こえた。
ずっと聞きたかった、俺を呼ぶ声。
「……っ春!?」
がばり、跳ね起きてその顔をこの目に映す。
「春…目覚めたのか…俺は万が一のことがあったらと…!」
「!?」
「よかった…春…!」
「………あの~……」
「しかし何故俺をかばったりなどした?いやそもそも、何故池田屋の中に入った?今回ばかりは良かったものの、お前が怪我を負ったりなどしたら俺は寝覚めが悪く…」
安堵の溜め息と、だからこそ言える小言が俺の口を突いて次々と溢れる。
そう―――大変なことに気付かずに。
「あの…斎藤さん、ってば………っ!」
一際大きな声で名を呼ばれて、俺はようやく少しずつ平静を取り戻す、
そして。
「なっ……!!」
言葉を失った。
なんということだろう。
俺のほんの寸分先には、春の顔。
しかも彼女は布団に横になったままだった為、感動の為とはいえ抱きついた俺はつまり、彼女に覆い被さる格好となっていて。
「さすがにこれは、その…いけないという、か……ッ……!」
珍しく耳まで真っ赤にした春はおろおろと視線を逸らす。
「―――すっ、すまな――」
「っん、う…!」
慌てて起き上がろうとするが、逆に慌てたせいで身体の均衡がぐらつく。
妙な箇所を触ってしまわぬ様、すればするほどもたついて。
「み、妙な声を出すな…っ!」
「やっ、だって…くすぐったい…んんっ!」
「~~っ!」
二人して、もたもた、もたもた。
縺れ合う。
春の声が耳朶を震わせて、身体が熱く粟立って―――
「…もう、…っ」
頭の芯がおかしくなりそうな、
その瞬間。
「春ちゃん、気がついたなら良かったけどまだ夜明け前だし大人しくし―――」