舞姫
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「うっ……ぐあ、あああ…ッ」
慟哭が、突然背後で聞こえた。
「っ!?」
目の前の敵に苦戦していた俺は、その声でようやく背後にあった気配に気づく。
「すまない、助かっ……」
危なかった―――
ちらりと助太刀の主を見た、
俺は目を疑った。
返り血は。
生々しく、白い肌を染める。
「………春」
俺の背中に背を寄せた、
その手には俺の脇差が握られていた。
「春……っ」
「こいつ!」
止められない、
白い肌が汚れていく。
「…っあ……あ、がッ…」
それはまるで、
舞う姫のように。
「春、もう止め……っ!」
鮮やかな剣先は、
一人また一人と確実に命を終わらせてゆく。
ぷつり。
糸が途切れたように、静寂は唐突に現れた。
ほんの一瞬の静寂。
「……総司、しっかりしろよ!おい、平助も!」
「落ち着け新八!お前こそ大怪我してるじゃねえか!」
「近藤さん、無事か?」
「ああ…助かったよトシ、それに皆…」
再び喧騒が訪れる中で、
俺は茫然と小さな背中を眺めていた。
「春……?」
ぼとり、重い音を立てて落ちる、俺の脇差。
無意識にあるべき場所を確かめるが、やはり鞘しかなく手が柄を握ることはない。
彼女の身体は、ゆっくりと倒れた。