舞姫
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じり、
と踏みつける足元の砂利の音さえ肝を冷やした。
流石に―――
恐いと、思った。
屋敷の中は、外からでも充分に聞こえるほどの怒号で一杯だった。
それから、金属のぶつかる耳障りな音。
外からでもわかる血と内臓の臭い。
元の時代でもそう、
こっちに来てからもぬくぬくと屯所で暮らしていた私は、
どこか楽観視していたんだと思う。
戦っている皆なんて想像したこともなかったけど、
皆はきっと強いんだ。
屯所でふざけてばっかりの皆は、
本当はこんな…いつ自分が転がる死体になるのかわからないところで。
でも、だめだ。
私はそうじゃない。
絶対に、絶対に入りたくない。
こんな時代に生まれなくてよかったと、
そして早く帰りたいと、
心から思った。
「待っていろ」
斎藤さんは私の方を見もせずに言った。
なんで、あなたたちは―――
入っていけるの?
横顔にはもう違う世界の人の顔。
ぴりぴりとした殺気を纏って、斎藤さんは入り口へと踏み込んでいく。
私はそっと建物の陰に縮こまった。
なんでこんな場所に、来ちゃったんだろう。
全身の五感を張り巡らせて、私は小さな呼吸を繰り返す。
悪い夢なら今のうちに覚めてくれたら、そんなことを思って。
気分が悪い。
今にもぶすりと鋭い刃が自分の身体に刺さるかもしれない、
そう思うと身体中がぞわぞわとして胃の中がせり上がってくるほど。
「総司!総司、どうした!?」
「おい、平助!しっかりしろ、おい!」
「くそっ!何だこいつら!」
「誰か…誰かいねえのか!怪我人運べ!」
沖田さん。
平助くん。
なに、何があったの?
助けを呼ぶ声は消えてくれない。
私は―――
ふらふらと、池田屋の敷居を跨いでいた。
「っ…」
外の数倍も、むっとする血の匂い。
倒れる人の身体。
湿った足元。
奥の部屋で、激しい剣劇が繰り返されていた。
階段のすぐそば、踞る浅葱色の羽織を見つけてなんとか駆け寄る。
「おま、春ちゃん!?」
「平助君……っ新八さん、私が代わります!他に怪我人は!?」
「総司が上で…待ってろ、すぐ担いで来る!」
平助君の額は大きく割れ、だらだらと流れる血が顔の半分以上を染めていた。
「っ…く、」
なんとか裂いた着物の布地で傷口を圧迫してから、周りの様子を探る。
「うう…っ…て、ェ……ッ」
「平助君…大丈夫、もう…っ」
食い縛る歯の隙間から微かな声が聞こえて安心した―――
その時。
「……っ斎藤さん!」
偶然視界に入った、奥の部屋の阿鼻叫喚。
そこに居る斎藤さんと、
背中から寄る、陰。
「だめ……!」
私の身体は、勝手に走り出していた。