うららかなりせば
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私が『こっち』に来て約一ヶ月。
今日も屯所は―――
「総司!!てめえ待ちやがれ!!」
「嫌ですよ、土方さん!!」
………騒がしいです。
「春、飯は炊けたぜ!」
「ありがとう平助君!原田さんはどうですか?」
「ああ、こっちも出来てる」
「よかった。それじゃもうすぐ煮物も仕上がりますんで、先に運んでおいて貰えますか?」
おうわかった、と言って平助君はお茶碗の大量に乗ったお盆を持って出ていった。
私は最後に火の通りを確かめるために串を里芋に刺し、よし、と呟く。
と、そこに視線を感じた。
「……原田さん?」
原田さんは背が高いから、自然と肩の辺りに上から刺さる視線の主は原田さんだとわかる。
私が名前を呼ぶと、ふわりと原田さんは微笑んだ。
「あ、いや…なんつーかお前、すっかり板についてきたな」
「そうですか?まだまだ何のお役にも立ってないです」
毎朝五つに起きて食事の支度を手伝うのが私の日課になっていた。
最初は時間概念が違って戸惑ったけど、慣れれば大したことはない。
朝日が出る前に起きればいいのだ。
「ん、そうじゃなくてだな…その…よめ」
「総司この野郎!!」
「あはははは!!これ傑作ですよ土方さん!!」
私たちの横を爽やかな笑い声が通り過ぎてゆく。
「…よめ?」
「はぁ…なんでもねえよ」
原田さんはぽつりと言うと、そのまま行ってしまった。
私も急いでお皿に取り分けて―――
と、そこへ。
「あっ春ちゃん、いたいた」
「…なんですか沖田さん」
「これ、あげるよ」
沖田さんが差し出したのは、何かの帳のようだった。
「…いりません」
こいつ、次は何を企んでるんだ。
「まあまあそう言わずに…僕の気持ちだから」
沖田さんは有無を言わせず私の手にそれを押し付けると、じゃあねと言って出ていってしまった。