手の鳴る方へ
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「うわー早く早く!めっちゃ楽しみ!はよ自由行動したい!!」
友達は大はしゃぎで集合場所へと私を引っ張っていった。
まばらに集まり始める人達、この調子では彼女がイライラし始めそうだ。
修学旅行。
そりゃ私だって楽しみじゃないわけじゃない。
けど、
京都ってありきたりな…と心のどっかで思わなくもなかった。
「パワースポット巡りまくろ!」
「うん…そだね…」
自由行動の周り先はほぼほぼみっちり決まっている
。
そのほとんどが…
(神社とかなんだよなぁ…)
私がそこまで乗り気でない理由は、これだ。
何故なら私の先祖は神社やら何やら、大仰な家系図があるくらい有名な血筋だから。
まあ、私の代にもなると末裔の末裔なんだけど。
とはいえ歴史的な街並みも、舞妓さんとかを見るのも楽しみではある。
ちんたらちんたらと集まったみんなで集合写真を撮り、なんとか自由行動の時間は始まった。
「やばーい抹茶美味しすぎたね〜!次は…えーと」
歴史好きな彼女は、行きたいスポット一覧表に目を遣る。
「あっねえ、次は壬生寺!行こ!」
またまたとんでもない元気に連れられて、私たちは真っ青な空の下を歩き始める。
「壬生寺…って、なんだっけ?」
「パワースポット!新選組がいたとこだよ!もう!」
そう言うなら、そうなんだろう。
正直パワースポットとやらが何なのかわかってない私は、既にここに至るまで溜めたパワー全開でずんずんと先を歩く彼女についていく。
そうして辿り着いたのは、立派な構えのお寺だった。
「へえ…すごい」
思わずそんな感想も口をつく。
静かでいて、趣深い造りのお寺。
とても、きれい。
「さっ、お参りしよ!」
流されるまま門扉をくぐり、その先へ向かう。
…あれ?
「ごめん、ちょっと…待って」
急にぐらりと目眩がした。
「えっ!?どうした!?ごめん、休む?」
友達はすぐに心配そうに駆け寄ってくれる、けれども。
「ごめ…」
言葉を紡ごうとして、更に変な感覚に襲われる。
熱い。
「ちょっと、休――」
言いかけて、私は頭の中の渦に溺れていくのを感じた。
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