ワガママ★屋上ブロッサム
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ガチャ。
半分眠っていた僕は、その音に片目だけ開けた。
すっきり晴れ渡った空色が飛び込んでくる。
そして――――
視界の隅に、あの子が現れた。
正直、びっくりしなかったわけじゃない。
でも「取ってきて」なんて言ったのは自分だし、いや、驚いた、けど。
「………おきたさん?」
彼女はおずおずと、本当に小さな声で僕の名前を呼んだ。
あー、眠ってると思われてるみたいだ。
僕はちょっと楽しくなって、寝たフリをすることにしてみた。
「…おきた、そうじさん?」
さっきよりも少し大きな声が降る。
―――そうだ。
僕はいいことを思い付いた。
「んー…」
わざとらしく身動ぎをして、彼女の反応を楽しんでみる。
彼女がなかなか起きない僕を前に狼狽える様子が、なんとなく伝わってきた。
「あの、沖田さん…?」
再び彼女が僕の名前を呼んだ、その時。
―――キーンコーンカーンコーン。
あは。慌ててる慌ててる。
「沖田さんっ!チャイム鳴ってま―――」
そこで僕は、素早く起き上がって春ちゃんの手を掴んだ。
「…別に、構わないけど?」
チャイムが鳴り止む。
ようやく僕は、春ちゃんの顔を間近で見た。
―――うん、文句なしに可愛い。
あの土方さんや左之さん、平助に一くんが惚れてるだけある。
だから僕はちょっと意地悪をしたくなっただけ。
それだけ、だ。
「……いい子だね、ちゃんと持ってきてくれるなんて」
口をぱくぱくさせている春ちゃんの手から、僕はさっき落としたあの紙を取った。
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