ワガママ★屋上ブロッサム
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
無駄だよねえ、クラス分けテストなんて。
そんなことを考えながらぼんやり窓の外を眺めていたのだけど。
「あ」
―――昼休み。
桜が咲き誇る中に、僕はその長い髪を見つけて思わず声を上げる。
あの子の隣にはいつも平助がべったりだから、少し動揺したのかもしれない。
そして気付いたら、手元のそれを微塵の躊躇いもなく柵の外へ落としていた。
「ねえ――――」
ひらひら。
桜に混じって白い紙が落ちる。
「―――ねえ、春ちゃん!」
自分でもちょっとびっくりしたけど、予想外の大声にあの子はもっと驚いた様子で顔を上げた。
目が合った。
「………それ、取ってくれないかな」
僕が指差した方向に彼女は視線を向け、そして怪訝そうに小首を傾げると、何を思ったか生真面目な顔でそれを追いかけた。
―――あ、捕まえた。
明らかに困惑した表情で、あの子は僕とその紙を交互に見遣る。
当たり前だ、あの子は僕のことなんか知らないし、そんな相手に急に「取ってこい」なんて言われたら…
あの子、どうするのかな。
ま、どっちでもいいけど。
開きかけた口が何を言うべきか悩んでいる。
僕が彼女の視線を真っ直ぐ受け止めて黙っていると、やがて観念したように彼女は校舎の中へと戻っていった。
</font>