忘年会に行こう!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「遅えよ!」
「待ってたぜ春!」
ぽかん、と立ち竦む私の前には―――
「……え?」
見知った面々。
ぱっ、と至って自然に土方部長の手が離れ、彼は隣でごそごそとコートを脱ぐ。
「ほら、早く座れって春!」
同期の藤堂くんが立ち上がって私の背中を押す。
「お疲れ様、春ちゃん」
間延びした声は沖田さんのものだ。
「俺ぁ待ちくたびれたぜ!」
永倉さんが元気な声を上げる。
「ご苦労だったな、春」
横を向くと労いの言葉を掛けて微かに微笑んでくれるのは、斎藤さん。
そして―――
いや、嘘だと思いたいのだけど。
思いたいのだけど。
「……お疲れさん」
穏やかな笑みを見せてくれるのは、
私の好きな人。
―――原田、左之助さん。
そうきっと一瞬で私の頬は赤くなった。
だって、
貴方の顔を見るだけで。
私はこんなにどきどきしている。
慌てて視線を逸らして俯く私の気持ちを知る人なんていないはず。
もじもじと指を組み合わせる間に人の動く気配がして、気づけば皆がジョッキを手にしていた。
私も慌てて熱くなった手でグラスを持ち上げれば、白い泡が親指を伝った。
「乾杯!」
キン、と乾いた音の後で土方部長を盗み見るけれど、この面々も私がひっぱって来られた理由も全く読めない。
よくよく考えれば女は私一人だし、面子は女性社員に人気な男性陣。
詐欺にでも遭っているような気分だ。
「春ちゃん、なにボーッとしてるの」
名前を呼ばれてはっと我に返ればすぐ近くに沖田さんの綺麗な目が私を見つめていた。
怯みそうになるけれど、ここは堪えて私は彼の目を見つめ返す。
「あの…なんで皆さんがいるんですか?」
「なんで、って…君にご褒美だよ」
顔が――――近いんですけど。
「総司」
咎めるような声が背後から届いた。
斎藤さんだ。
「忘年会だ」
彼はくいっとお酒を呷った。
「あー…」
な る ほ … ど ?
なんとなく腑に落ちないまま、私は一口お酒を飲み下す。
そして本当に無意識に、またちらりと斜め前の彼に視線は吸い込まれた。
「ん?」
ばっちりと目があってしまう、私と原田さん。
慌てて逸らせたらいいものの、焦がれた瞳から目は離せなくなってしまう。
「一年頑張ったお前に息抜きだ」
土方部長がふっと笑って言う。
「好きなだけ飲んどけよ、春!」
「はあ…」
藤堂くんの明るい声に押されて、私はまたグラスに口をつける。
「もっとぐいっといけよ##NAME1##ちゃん!」
永倉さんは容赦ない。
とにもかくにも、こうして私の忘年会は幕を開けた。
</font>