忘年会に行こう!
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「はぁぁーっ…!」
12月31日。
休日、しかも大晦日にも関わらず私がほぼ無人のオフィスでパソコンとにらめっこしていたのは、もちろん仕事を来年に持ち越したくないから。
―――というのもあるけれど、まあ特に予定もなく、家でぼんやりしてるくらいなら仕事しちゃおうという理由からだった。
<body background="http://id11.fm-p.jp/data/357/meltk1ss/pri/5.gif">忘年会に行こう!
そうしてきっちり仕事納めを終えた私は、満足の溜め息を吐いて時計を見遣る。
すっかり窓の外が暗くなってしまっていたからもう随分な時間だと思っていたけれど、まだ電車も充分走っている時間。
結局年越しは家で一人かぁ、なんて思いながらパソコンのシャットダウンをすべくのろのろとマウスに手を置き直す。
そのとき―――
「おい、春」
完全に惰性でいた私は、その人が近付いてきていたことに全く気付かなかった。
「っひ」
反射的に間抜けな声で、私は応える。
一瞬のうちに驚きそしてほっとする。
「土方部長~…」
驚かさないで下さいよ、という言葉は理不尽ゆえに口には出さない。
振り向くとそこにはネクタイを弛めた土方部長がいた。
どういう訳か彼女なんて三人くらい居そうな彼が大晦日出勤をしていたのには、出社したときには驚いたけれど。
何かと世話を焼いてくれるこの人が、やはり今日も私の面倒を見てくれていたので申し訳ないことをしたと思う。
「終わったのか?」
彼は凛とした声で私に問うた。
さっきの溜め息が大きすぎたのだろう、心の中で反省しながら私は姿勢を正す。
「はい…」
暗くなっていく液晶画面。
なんだか気まずい。
「あの…ありがとう、ございました」
「…あ?あぁ」
実際感謝してもしきれないのだけど、静まり返った中でなんと言葉を継ぐべきか迷う。
お疲れさまでしたーっなんて言ってバッグをひっ掴むのも気が引ける。
かと言ってシャットダウンしてしまったパソコンに向き直る訳にもいかない。
なんでこのタイミングで…と私は視線をさ迷わせた。
すると。
「そうか」
ふわり、土方部長は世にも珍しい微笑みを見せた。
唇が開く。
「そんなら、支度してこい」
――――はい?
私の疑問はそのまま顔に表れる。
ちょっと失礼だったろうに、土方部長はいつになく優しい顔を見せて言った。
「頑張ってくれたお前にご褒美だ、今から飲みに行くぞ」
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