こんなに好きだから。
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「……なにしてるの、春ちゃん」
突然降り注いだ声に、私ははっと身を強張らせた。
私の自室に入る人など限られている。
「斎藤さ―――」
凡そ望みのない声で、私は顔を合わせ上げた。
なぜならその声は、私の知った物であって、
私の望んだ物ではなかったから。
ふっ、と息を吐いて、彼は苦笑した。
「―――おきた、さん」
声でわかった。
沖田さんは腕を組んで私をその高い背で見下ろしている。
「今日も喧嘩したんだ?君たちってさ、ある意味お似合いだよね」
刺のある物言いが、私の胸をまたちくりと刺す。沖田さんはいつだってそうだ。神経を逆なでするというか何というか。
「……それはどうも」
泣いても癪なのでふいと顔を背けて、私は答えた。
だけど、彼が本当は優しいことを私も他の皆も知っていた。
「―――で、今日は何があったの?」
私はその事に促されて口を開く。
「…………お役に立ちたいと、思って」
先刻の出来事をとつとつと、話し始めた。
そう、お役に立ちたいと思った私は斎藤さんに言ったのだ。
隊のお仕事を、ほんの少しでいい、お手伝いさせて下さいと。
もちろん、新選組がいかに危うい仕事かは解っているつもりだ。
命の駆け引きをするような、刀に命を賭けるような仕事だと。
だが、だからこそ。
「……君の気持ちもわからなくはないかな」
沖田さんは苦笑を湛えたままで言った。
「…どういうことですか?」
「僕も近藤さんの役に立ちたくて必死だからさ」
―――そうだった、沖田さんは近藤さんを実の父上のように慕っていて、そのために刀を握るのだと、私は知っていた。
「ねえ」
沖田さんの唇が意味ありげに歪む。
「本気でそう思う?」
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