こんなに好きだから。
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「駄目だ」
透き通る声が私の胸を小突いて、言葉が出ない。
<body background="http://id11.fm-p.jp/data/357/meltk1ss/pri/5.gif">こんなに好きだから。
「……もう」
やっとのことで絞り出した声は震えていた。
「もう、斎藤さんなんて嫌いです……っ!」
私の悲痛な叫びを受け止めるのは、信じられないほどに冷酷な後ろ姿。
これ以上交わせる言葉も表情もなくて、私は踵を返すと自室へと駆けた。
「…っ…う」
私はぴしゃりと閉めた襖に凭れかかり、そのままずるずると力なく座り込んだ。
嗚咽が喉を焼く。
江戸から上京した直後、浪士に絡まれていたところを斎藤さんに命を救われ、身寄りもないので内密に新選組の屯所で預かって頂くことになって、もう一年。
気づけば斎藤さんに惹かれ、霜月のとある日に彼から告白を受け晴れて恋仲になった私たち―――
の、筈なのに。
「斎藤、さ…っ…」
前より溝が深くなり、前よりお役に立つのを牽制され、前より冷たく感じるのは、
どうしてだろうか。
気のせいなんかじゃなかった、今だってそう。
―――もう、駄目かもしれない。
そんな思いが頭を過って、私は声を殺して泣き崩れた。
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