キスミベイベ
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「おう、来たか」
実際この手には何度か掛かったことがあるというのに、不覚だ。
にやにや笑われてイラッとする私。
「なんだ?また原田の補習か、[#da=#2]」
「あ、土方先生。最悪ですよね補習とか」
「お前は他の教科は成績良いのに勿体ねえんだよ」
「だって嫌なものは嫌なんです」
「お前は…減らず口を叩くな。ほら、行くぞ」
私たちは苦笑する土方先生に見送られながら、教室へと向かった。
「ねえ、原田っち」
「…原田っちはやめろ」
「私どんくらい成績下がってる?」
「スルーかよ…。まあ、一週間も補習やりゃ十分だな」
「ふーん」
私は席に着いて、アンダーラインなんか全くない英語の教科書とノートを取り出す。
原田先生は嘆息すると私の前の席に大きく脚を広げて後ろ向きに座った。
じゃあここ、と指された場所から、補習が始まる。
とにかく本文を写して覚える、という訳で私はカリカリとシャープペンを走らせた。
原田先生の視線が私の手元に絡み付いて、なんだかよく間違えてしまう。
随分長いことそうしていた、やっと一ページ書き写し終わった私は、「終わった」と軽い調子で言おうとして顔を上げ、一瞬息をするのを忘れた。
赤い髪が、夕陽に透けてもっと赤くなっていた。
閉じた目蓋に陰が射して、綺麗。
薄く開いた唇が、色っぽい。
瞬時にそこまで見留めた私は、それから「あ」と目の前の人が居眠りを始めているのに気づいて、どうしたものかと悩んだ。
自分から補習だと呼び立てておいて微睡んでいるこの人を起こしてしまうべきか。
いや疲れてるのかもしれない、今は寝かせておいてやろうか。…なんて、そんな優しくはない。
私はシャープペンの頭を原田先生の頬杖に近づけた。
こいつ、顔だけは綺麗なんだよなあ。なんて思いながら。
しかし一突きしようとした、そのときだった。
ガラッという音と共に背後のドアが開いた。
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