愛妻家の煩悩
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「しかしっ…これでは少々春#が哀れではないだろうか…」
「仕方ないよ、一君。左之さんに春ちゃんを渡さない為だったら僕は何でもする」
「うむ…そうだな」
朝早く、炊事当番だった春の作った料理を前に―――小瓶を勢い良く振り掛ける人、二人。
「あれ、お二人ともどうしたんですか?」
「ああ、おはよう春ちゃん。昨日の夜は楽しかった?」
「?ええ、すっごく楽しかったです!」
「春っ…総司が聞いているのは、その…宴のことでは…っ!」
「な…っ!!」
かあっと赤くなる春。
「なにも、してませんから!!」
そうして食事が始まるの、だが。
「うわっ!!なんだよこれ!?」
「さ、左之助さん…お口に合いませんでしたか?」
「いや、そうじゃ…ねえよ…美味い、うん、美味い…」
胡椒たっぷりの煮物を、涙目になりながら口に詰め込む原田をにやにやと見る沖田、しくじったかと悔しがる斎藤。
またあるときは、
「左之さん、オレ…左之さんに…勝ったら……春と…」
「おっ、落ち着け平助!!ってうわっ!?」
真っ向から真剣で勝負を挑み土方にこっぴどく叱られる藤堂。
こうして原田の嫁さんを狙う壮絶な戦いが、水面下で着々と行われていた。
そんなある日。
―――――――――――――――
「春ちゃん、はっきり言うけどさ」
俺は勝手場から聞こえてきた声に、思わず立ち止まった。
あの声は総司だ。
それに、多分他にも誰かいる。
「左之さんの何処がよくて結婚なんてするわけ?」
聞いてはいけない内容だろうに、俺は耳を塞げず寧ろそば立ててしまう。
「左之さんなんて顔がいいだけで!女ったらしだぜ?」
……平助。
後で締める。
「それにさ、短気だし腹に傷あるし、呑兵衛だし俺様だよ?」
「同感だ。春は何故原田を選んだ?あいつとあんたじゃあんたが辛い思いをするのは目に見えてる」
沖田に、いつになく饒舌な斎藤。
――――確かに、言う通りだった。
俺は今まで女に不自由したことはないし、酒も好きだし短気起こして腹詰めるような、しょうもねえ奴だ。
春と結婚するなんざ、俺にゃ勿体ねえ―――そんなこと、俺が一番わかってる。
けど。
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