ギブミースマイル。
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「……なあ、最近春、おかしくねえか?」
原田は唐突に切り出した。
手元には空になった盃、そして向かいには新八が座っている。
「……はぁ?」
新八は間抜けな声を出した。
「なんつーか、ほら…よそよそしいっつうか」
悩んだ時には酒で忘れる。
…それも通用しないほど、考えてしまっている。
「…いんや、全っ然変わんねーよ?」
「………だよなぁ」
当然、新八の答えに納得した訳ではなかった。
新八の『変わらない』は、『新八にとって』の『変わらない』、なのだ。
「あ、でもよ!最近屯所の中にいねえことが多くなったとは思うぜ!」
……まあ、俺はそのことも含めて「おかしい」って言ったんだけどな。
新八の自信満々な顔に苦笑して、はあ、と溜め息を吐く。
「…なんなんだよ、ったく…」
つい毒づいた言葉が口を突いてしまう。
かれこれ一ヶ月、いやそれ以上前からか、春の態度はおかしくなっていた。
それも、原田にだけ。
「…なんか、あったのか?」
気遣わしげに新八は問いかける。
「まぁな…」
原田は何度も手酌をしながら、滔々とこの友人に話し始めた。
飯番で一緒になったとき、巡察で一緒になったとき、廊下で鉢合わせたとき。
春が、ほとんど視線を合わせなくなってきたこと。
春が、自分に対してほとんど笑わなくなったこと。
しかもそれは、原田に対してだけなのだ。
平助とも寡黙な斎藤とも、春は楽しそうに笑う。
何よりもそれが、気に食わなかった。
「…左之らしくねえな」
実に的確なことを指摘され、原田は苦笑いした。
全くその通りだ。
こんな時、いつもの俺なら無理矢理にでもこっち向かせて問い詰めてる。
解ってはいるものの、いざ春を前にすると―――恐くなってしまうのだ。
次に顔を合わせた時こそ、しっかり顔を見て告げてやろう。
そう心に決めた矢先―――
春が、いなくなった。
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