コイビトツナギ
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「百瀬さんってさあ」
他の男子に声を掛けられるようになったのは、少し経ってからだった。
「沖田と付き合ってないって本当?」
「いやいや、ないって。本当に付き合ってないから」
「だよな?」
「だよ」
あはは、と私たちは笑い合う。
実際、告白されることも何度かあったけど、私は彼らを好きな理由がない。
だから断ってきた。
―――沖田は、なんて答えるんだろうか。
今でも「そうだよ」と言ってくれるだろうか、それとも「違うよ」に変わったんだろうか。
そんなことは私には関係ないこと。
聞かれる度になんだか苦しくなった。
―――そんな折りだった、私は彼に告白された。
斎藤、一君。
「答えを、聞かせて欲しい」
沖田の差し金だと、私はすぐ察した。
あいつ、私には今日は一君部活だから、なんて言ってたけど嘘だったんだ。
苦々しく思いながら、それどころじゃない、私は目の前のひとのことを考えた。
好きな理由は、ある。
一君は好き。
でも、じゃあ付き合うの?
好きなら付き合うの?
ワケがわからない。
す、と息を吸って、私は気づくと―――深く頭を下げていた。
「ごめんなさい、一君、大好きだけど」
ふ、っと一君の緊張が解けるのを、私は感じた。
「ああ。……総司に言ったら、無謀だと言われた」
まるで最初から答えがわかっていたように、彼は静かに言った。
「………だが、慌てていた」
「……え?」
一君はほら、と促すように私の髪に触れる。
懐かしい。
けれど、違う触り方だった。
「―――総司は今頃お前を待っている、早く行ってやれ」
全てを見透かすような深い色の瞳が、私を動かした。
「……っ一君、やっぱり大好き!!」
私はそれだけ告げると、苦笑する彼を残して教室を飛び出した。
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