コイビトツナギ
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「総司、待たせた」
「ああ一君、遅かったね」
彼は隣のクラスの斎藤一くん。
沖田とは昔馴染みらしく、一見正反対っぽい二人だけど、かなりの仲良しみたいだ。
「あ、一くん」
「…百瀬、テスト勉強か」
「うん、数学わかんないんだよね」
「……教えてやろうか?」
一君は、優しい。
「本当?あ、でも沖田が待ってるし…」
ちら、と沖田を見ると、彼は全くの『無表情』というものだった。
「…教えてほしいなら、教えて貰えば?」
「…だそうだ。要点一問だけ教えてやる」
一君は沖田の了承を得たように、私の後ろから教科書のページを繰る。
沖田の方を向いていた視界が不意に一君の綺麗な顔に間近に覆われて、私はどきりとした。
「…百瀬?説明するぞ」
「あっ、はい!お願いします!」
一君は心地良い低音で、わかりやすく説明してくれる。
ものの五分と経たない時間でも、かなり助かった。
「ありがとう一く……ん」
振り返った私は、思わず言葉を切ってしまった。
なんだか、沖田の無表情が怖い。
二人きりだったら、きっとそのまま動けなくなってたんじゃないかと思う。
「では、俺たちは失礼する」
「あ、うん!ありがとうね」
「ああ。……テスト、頑張れよ」
一君が居てくれて助かった。
だけど―――また明日ね、と振った手に応えてくれたのは、一君だけだった。
「…あ、お団子」
私は不意に思い出して、鏡でさっき沖田の作ってくれた髪の毛を映した。
―――これ、沖田がときどき使ってるシュシュだ。
まあでも明日返せばいっか、せっかく綺麗に出来てるしと、私は再びシャープペンを握った。
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