はじめくん、がんばる。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…わからねえ、だと?」
襖の奥から不機嫌そうな声が聞こえてきた。
襖の外には―――藤堂、永倉、沖田、原田、そして近藤が耳をそばだてる。
「はい」
はあ、と土方が大きく息を吐いた。
何故春を怒らせたのか、という質問に対する答えはその一言だった。
「…そんなら昨日、何をしてあんな事を言われた?」
それもわからねえとは言わせない、そんな物言いで土方は問う。
少しの間があって、斎藤は口を開く。
「…つまらない物を持っていたので、つまらない物を持っているのだな、と言いました」
襖の内からも外からも、呆れた溜め息が漏れた。
「…んで、そのつまらねえ物ってのは何だったんだ」
それは。
―――続きを聞いて、再び溜め息が漏れる。
だが、今度は半分呆れ、半分諦めの溜め息だった。
「前に俺が取ってやった桜の、栞です」
うわ、マジかよ…
なんだ?なんでそんなもん持ってんだ?
僕としては、一君の方がつまらないなあ。
まあ…そんなこったろうと思ったがな…
うむ、良い話だ…
襖の外で各々が呟く。
「―――いいか、斎藤」
土方が一呼吸置いて、口を開いた。
「そりゃあな、お前の腕が貶されたのと同じだと思え。わかったらとっとと謝りに行け」
言葉使いとは裏腹に、背を押すような声。
「それと―――」
一寸の沈黙の後。
土方の指南を受け、斎藤は屯所を飛び出した。