ゆびきり
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桜が散る。
緑が咲く。
今日もあったかい。
「……おはよう」
「…もうお昼ですよ」
緑の中に咲く桜色の着物が、虚ろな目をして僕を見た。
「ごめんね、お待たせ」
僕はその横に寝転がると、春ちゃんの頭を腕の上に乗せて柔らかく抱いた。
草を編むように、手のひらに掛かった艶やかな黒い髪を弄る。
「でも、まだ眠いなあ…」
ふふっ、と春ちゃんは僕の胸の中で楽しそうに笑う。
「…春ちゃん」
この目に焼き付けるように。
僕が眠っても覚めても、君のこの笑顔を一番に見られるように。
僕は春ちゃんを。
「お願い」
ちゅ、と軽く唇を啄んで、僕は言う。
「僕のこと、ずっと忘れないで」
ああ、きっと君ももう気づいているんだろう。
僕は一緒に居られても、もう一緒に居られないこと。
僕たちはあの日のように小指を絡めて。
「…当たり前です…」
だからもう、僕も覚えてるから。
お願いだから、そんな小さい声で喋らないで。
もっと聞かせてよ、君の声。
「総司さん、」
僕の目が閉じていく。
「おやすみ、春ちゃん…」
夢の中で、ちゃんと見つけ出すから。
この小指を、離さないでね。