ゆびきり
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「…どうして、忘れられましょうか」
穏やかだが凛とした声で、春ちゃんは言った。
「ずっと、傍に居ると言ったでしょう?」
それが至極当然と言うように、春ちゃんは僕の手を握る。
彼女だって知っている筈だ。
ずっと僕に寄り添っていたのだから、もうすぐ、僕がいなくなることくらい。
「……幸せにしてあげるなんて、僕は誓わないよ」
虚勢の軽口が、あまりにも現実味を帯びている。
だが春ちゃんはけらけらと笑ってくれた。
「生憎総司さんの傍にいるって決めた時から、わたしは幸せですから」
「春ちゃん」
「はい?」
「やっぱり気が変わったよ」
僕は、幸せだ。
「君のこと、僕がずっと幸せにするから」
だから、
僕がいなくなっても、君の笑顔の理由は僕でありますように。
いつの間にか、僕の小指と春ちゃんの小指が絡み合っていた。
「君は僕のこと、ずっと幸せにしてね」
静かなゆびきり。
いつまで経っても、小指は離れなかった。