ゆびきり
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「春ちゃん」
暖かい日だまりになった縁側で、彼女は僕の脚の間にちょこんと座っていた。
白い首筋が、僕が喋るたびにくすぐったそうに竦められる。
「なんですか、総司さん」
桜がひらひら、綺麗だ。
春ちゃんには桜がよく似合う。
「君は、いつまで僕の傍に居てくれるの?」
ゆびきり
「…僕の、聞き間違いかな」
春ちゃんの着物の肩に顔を埋めてみると、暖かな日の匂いがなんだか酷く胸を締め付けた。
だとしたら、僕の耳はずいぶん都合のいい出来なんだと思う。
「違います」
春ちゃんを抱き締めて組んだ僕の手に、すらり、と春ちゃんの手が重なる。
嘘の吐けない彼女の手は、その言葉に何の罪も嘘もないことを何より証明していた。
「じゃあ、もう一回言って?」
もう、と照れ臭そうに笑って、春ちゃんが口を開く。
「ずっとですよ」
目には見えないのに、春ちゃんの唇の動きがまざまざと僕の目蓋の裏に再生される。
「……ずっと、って、どのくらいかな」
彼女に訊いたわけではなくて、自分の中の『ずっと』を探した。
やっぱり「生きてる間」だとか、そういうものなのだろうか。
だとしたら、僕の「ずっと」は、きっともう長くはないのかな。
しかしそんな僕の気持ちを見透しているように、春ちゃんはきっぱりと、言った。
「総司さん」
彼女はしっかり前を見据えて、言う。
「わたしがあなたを好きな限り、ずっとなんです」