桜舞う日と君を待つ。
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翌朝。
やや遅れて広間に入ってきた沖田の姿を見て、全員がぴたりと箸を止めた。
「ふあ…おはようございます」
当の沖田はそれを全く気にも留めず、欠伸をしながら膳の前に座る。
春はと言うと―――
必死で目を逸らして、おかずをつついていた。
やがて、ぽかんとしていた近藤がようやく口を開き。
「総司、その………その髪は、どうしたんだね?」
全員の疑問を、見事代弁した。
沖田の髪の毛は―――
可愛らしく、ふたつの三つ編みに結われていたのだった。
しかし沖田はどこ吹く風といった様子で椀を手に取り。
「ああ、これですか?」
ちらり、と春を見遣ると、言った。
「夜這いしてきた女の子が結ってくれたみたいです」
「ぶふーっ!!」
永倉が思いきり吹き出した。
一同はそれに突っ込むことも忘れ、ただ唖然。
「可愛いでしょう?せっかくだから今日はこのまま居ようと思って」
「よ、夜這いとは――」
「夜這いじゃありません!!」
気がつくと、春は頬を真っ赤に染めてそう叫んでいた。
―――あ。
しまった、と閉口すれども時すでに遅く。
沖田の黒い笑顔が春に向けられていた。
「ふうん?なんで春ちゃんが知ってるの?」
「っ…」
「その子にお礼しなくちゃ、ね」
あわあわ、と顔を赤くしたり青くしたりする春に助け船を出せる者は………いなかった。
「そういうわけで、僕は今日巡察という名の逢い引きに行ってきます」
「い、行ってらっしゃい!!」
「春ちゃんも一緒に行きたいそうなので」
「行きたくありません!!」
「連れて」
「行きません!!」
にこにこと近藤に向かって話していた沖田は、そこでひたすら悲痛な叫びを上げる春へと視線を移し―――
「…行くからね?」
あの鬼の副長さえも凌ぐような恐ろしい笑顔で、決定した。