桜舞う日と君を待つ。
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その晩。
わたしはすっかり冷えてしまったお饅頭と睨めっこしながら、考えていた。
どうして沖田さんは、わたしに意地悪ばかりするのだろう。
今日のことだけじゃない。
他の幹部の人の巡察についていこうとしたら「用事があるから一緒に来い」と言って、何かと思えば茶店へ行くだけだったり。
ある時は永倉さんに肩叩きを頼まれていたところへ現れて、いきなり永倉さんの肩へ思いきり肘鉄を食らわせたり。
それにこの前は、庭で喋っていた平助くんの頭にいきなり大きな雪玉を投げつけていた。
挙げてみると数えきれないほど、わたしは沖田さんに振り回されているような気がする。
なんだか、猫みたいな人だ。
気紛れに現れては悪戯をしていくけれど、何故か憎めない、というか。
もちろん、仕返しを試みたことはある。
沖田さんのおかずに芥子をたっぷり仕込んでみたり、真冬に冷たいお茶を出したり。
だけどそんな時に限って永倉さんがおかずを横取りしたり、お茶の件では「風邪を引いたから看病しろ」なんて言われて捕まってしまった。
わたしは悩む。
なんだか、悔しい。
そして―――
思い付いた仕返しを実行すべく、足を忍ばせて沖田さんの部屋に向かった。
寝てる、かな……?
襖に耳を寄せてみると、微かな寝息が聞こえる。
―――よし。
わたしは意を決して、襖をそっと開いた。
横向きに、彼は眠っていた。
わたしはその姿に内心「しめた」と思いながら、そーっと彼に近付く。
―――初めて、彼の寝顔を見た。
否、男の人の寝顔を、初めて見た。
薄い瞼が閉じられ、無防備に小さく口を開いて寝息を立てているその横顔は、とても綺麗で。
思わず見惚れてしまっていたわたしは、はっと目的を思い出して………
手を伸ばした。