ハジメノヒ。
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「春っ!!」
「はいっ!?」
勝手場の戸口を勢いよく開けると、彼女の心底驚いた声が返ってきた。
「おう、来たか」
にやにやと笑いながら、永倉がこちらを見遣る。
恐らく本人から『理由』を聞いたのだろう。
んじゃ、俺らはこれ持ってくから、と原田が諭すように言って出ていく。
「春」
「はいっ…」
先程とは違い、怒られるとでも思ったのだろう、頼りない声で春は答える。
「……ありがとう」
斎藤は、思わず彼女を抱き締めていた。
「え…?」
とく、とく、とどちらのものとも定まらない心臓の音が響く。
そして、そっと春の腕が斎藤の背中に伸びた。
「おめでとう、ございます!!」
弾むような声で、彼女は再度その言葉を口にした。
「お前は……何故、そんな小さなことを覚えている」
だって、と春はさも当然のように、言った。
「わたし、『はじめ』っていうお名前が大好きなんです」
一月一日、『はじめ』。
「…名前だけか?」
揶揄するように問うてみると、ぶんぶんと腕の中でかぶりを振る。
「……はじめさんが、好きだからです……」
「ああ、俺も好きだ、春」
ぎゅ、と互いの腕が強く抱き合う。
「…一つ、欲しいものが見つかった」
「?…何でしょうか」
「………今から、貰うぞ」
斎藤は自らに言い聞かせるように言うと。
ふわり、と春にくちづけた。
お前が少し眠ったら、振り袖に着替えて初詣に行こうか。
ひとつ、願い事ができた。