悪戯-恋慕-
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「ふふっ、皆さん相変わらずなんですね」
「ああ―――お前が居ない間は総司の飯も酷いものだ」
自然と表情が穏やかになるのを感じながら、斎藤は杯に口をつけ、傾ける。
じわりと喉を通る酒の風味を、味わっていると。
「―――どうした、春」
「へっ?」
ぼーっと見つめていた自分に気付いていないのか。
春はようやく視線を上げ、斎藤と目を合わせた。
「さっきから俺の喉ばかり見ているだろう」
「あ……」
指摘されてやっと、思い出したように春は「すみません」と小さな声で言い、誤魔化すように俯いた。
「謝ることではない。何が気になる?」
斎藤が静かに促すと、春は暫しの躊躇いの後、思い切ったように顔を上げた。
裏のない真っ直ぐな眼差しで、小首を傾げ。
「―――お酒って、美味しいのですか?」
斎藤は虚を突かれたように切れ長の目を少し瞠り、
そしてふっと笑った。
「呑んでみればよかろう」
春からお銚子を取り上げ、「俺の酌ですまないが」と付け足して、替わりに杯を手渡す。
杯に酒を張ると、春は両手で持ったそれを慎重に口許へ運んだ。
こくっ、こくっ。
小気味の良い音を立てて白い喉が上下する。
「………どうだ」
春は確かめるように喉元に触れて、またもや首を傾げる。
「…よく、わかりません」
「呑んでいれば美味く感じるものだ」
ほうっと春は息を吐く。
「まだ、呑むか?」
「…良いんですか?」
意外な反応に少し驚きながらも、斎藤は当然とばかりにもう一つ杯を取り、互いに酌み合うこととなった―――