春散りぬれど、夢染めて。
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袂を分かったあの日々を、
絶望すら感じた日々を、
まるで何事もなかったように。
存在すらしなかったように。
人々は埋めて忘れていくけれど。
「ちょ、佐之さん!それオレの酒だって!」
「うるせーな、こういうのは先に飲んだのが勝ちなんだっての」
「くっそ…負けねーぞ!」
激動の時代は終わり、
まるで自分たち以外誰も覚えていないかのように錯覚するほどの、平穏。
あれから。
江戸から遠く、離れ、散り散りになる中で。
「新選組としての」彼らは死んだ。
「僕は土方さんは死んだって聞いたのになあ」
ぼんやりと盃を揺らしながら、沖田は吐く。
「てめえこそ、散々嫌な咳しときながらピンピンしてるじゃねえか」
「やだなあ。あれは屯所の空気が悪すぎたからですよ、誰かさんのせいで」
「…総司、お前は相変わらずだな」
まさかまたこんな軽口を叩き合う日がくるなど、誰が思ったのか。
ものの数年のうち。
見えない糸を手繰り寄せるように、
一人、また一人と、
出会ってしまった。
もう、最後かも知れない。
否、きっと。
花見をしようなどと言い出したのは誰だったか。
それよりも、いつのことだったか。
桜は狂ったように美しく、
夢だったと言われれば疑うことなく信じてしまいそうな日。
彼女が、
いるような気さえして。
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