副作用、恋。
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やっぱり、寒いなあ。
駅の明かりに駆け込んだ、わたしは荒くなった息をほんの僅か整える。
蛍光灯が照らす階段を降りたら改札を抜けて、まだ酔っぱらいはいない電車に乗り込むと立ちっぱなしのドアに額を凭れさせる。
信じらんない、
なに、これ。
ごしごしと袖で口を拭ってみても、ココアの味が取れない。
『さい―――ドアが閉まります、ご注意下さい―――』
気づけばスーツの波とすれ違って、無機質なホームに降り立っていた。
頬を押さえる、熱い。
すっかりライトアップされた街に、わたしは歩を進めた。
赤い垂れ幕、飛び交う声。
もうなんにもわからなくなっちゃう、わたしはひとつのショーケースの前に子供みたいにしゃがみ込む。
宝石みたい、ぴかぴか輝くまるっこいチョコレート。
白、ピンク、ブラウン、行儀よく並ぶその輪郭には縁取るように赤いジュレが点々と控え目に痕を残す。
「わ……」
その細やかなフォルムに、視線はくぎ付けになった。
もしかしたら、わたしは何もかも、整理したかったのかも知れない。
「…これ、下さい」
そこそこ値が張るそのチョコレートを、わたしはまさに衝動買いした。
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