副作用、恋。
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「あ…」
水の音だけが占める中、苦し紛れに口を開いたのはわたしだった。
「あそこのパスタ、美味しいですよねっ」
ちょっと、なんで悪いことしてる気持ちになるんだ。
「ん?ああ、そうだったかな」
気さくな原田さんがこんなに浮かない返事をする、それが理由かも知れない。
いや視線が気になるだけ、そうかも。
「……原田さんって、本当モテますよね」
呟いてから、
わたし何言ってるの…!と軽い自責の念。
「そうか?あんまり興味ねえからなあ」
へえ……
って、そうじゃない!
あー!洗い終わっちゃう!
そうして一人でテンパっていると、視界の隅で原田さんが動いた。
「―――お」
はっと顔を上げると、原田さんの手がレンジの横に置いてあったあのココアを持っていた。
「いいもん見っけ」
「っ原田さん、それ―――っ」
慌てて止めるが、時既に遅し。
かぽっ、と軽快な音と、ひとつこくりと動く喉。
「………何だ?」
いや、そんな悪気のない目で見られたら――わたしが斎藤さんに貰ったものなんです、とは言えないよ、さすがに。
だけど原田さんは何食わぬ顔で飄々と告げた。
「もしかして、お前のだったか?」
………なんと言うべきか。
そもそも原田さんもあの場所に、今こうして残っているということは斜め前のあの席にいた筈なのだから、一部始終を見ていただろうに。
「……まあ……貰ったもの、ですけど……」
答えなから、わたしはスポンジを置いてカップを濯ぐ。
「そっ、か……悪かったな」
「いえ、仕方な―――」
わたしが言葉を止めたのは、
突然頬に皮膚の感触を感じたからだった。
「これで許してくれねえか」
視線、移って。
視界は暗くなる。
「―――っ」
え?
まさか、今、
「ごちそーさん」
―――キス、した?
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