Dear my cake.
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わたしの好きな人は―――
「お早うございます、土方先生」
「おう、百瀬……」
きっとわたしなんか、眼中にない。
<body background="http://id11.fm-p.jp/data/357/meltk1ss/pri/5.gif">Dear my cake.
「今日も寒いですね…」
わたしはマフラーに顔を埋めて呟きながら靴を脱いだ。
「ああ、毎朝車に霜降っちまって敵わねえ」
土方先生と玄関で会うのは初めてじゃないけど、やっぱりどきどきする。
こんな小さな声も聞き取ってくれるのは、うれしい。
「……あんた、頬っぺた真っ赤だぞ」
苦笑しながら言われて、わたしは余計に赤くなる。
どうしよう、どうしよう。
くっと唾を飲み込んだ、そのとき。
「としぞーー!!おっはよーー!!」
寒さも吹き飛ばす元気な声に、悪いことをしてるわけじゃないのにどきりと胸が跳ねた。
「てめえ!教師に向かって『としぞー』じゃねえ!」
振り向けばこの職員用の玄関を通り昇降口に向かうらしい女子生徒の姿が見えた。
「あっ百瀬ちゃんも!おはよー!」
「お…おは」
「『百瀬先生』だ!言い直せ!」
「あーハイハイ、じゃあまたねー」
彼女たちは煩そうに手を振って逃げていく。
「あはは…元気ですね」
「うるせえだけだよ…ったく」
彼は面倒くさそうに髪を掻き上げ、わたしたちはなんとなく並んで職員室へ向かった。
「もうすぐ受験だってのに浮かれやがって…」
「三年生の担任は大変ですね」
「そういうあんたも、二年は中間テストだろ?」
「ええ、まあ…でも採点も殆ど済んでるので」
「そうか、仕事が早えな」
褒められて勝手に頬が弛む。
これじゃまるで先生と生徒だ、わたしだって一応ちゃんとした先生だっていうのに。
がらりと職員室のドアを開けると、大きく伸びをした原田先生とぱちりと目が合った。
「あっ…お早うございます!」
「……おー」
……あれ?
機嫌でも悪いんだろうか。
わたしは首を傾げながらデスクに座る。
だが一限の教材を纏めたり予定を見返したりしていると、原田先生はいつものように人懐っこく話し掛けてきた。
「勉強熱心だな、春ちゃん」
「いえ、そんなことは―――」
「おい原田!邪魔してねえでテメェも予習してろ!」
土方先生の怒号が飛ぶ。
「あいよ。…じゃ、後でゆっくり話そうぜ、春ちゃん」
「………はぁ」
わたしは人知れず溜め息を吐いた。
デスクトップのカレンダーを見れば、明日はバレンタインデー。
趣味のお菓子作りに興じても―――
「永倉ぁ!テレビ見てんじゃねえ!ったくどいつもこいつも…!!」
渡せるわけ、ない。
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