ギブミースマイル。
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畳まれた布団にとすんっ、と春を降ろすと、原田は彼女の目線に合うように屈み込んだ。
「この…バカッ!!」
びくん、と春が肩をすくませる。
しかし続いたのは、不安に揺れる声だった。
「……なあ、女ったらしで短気で、しょうもない男だって、思ってたのか?」
だから、笑わなくなっちまったのか?
―――原田の言葉に、春は狼狽したように俯く。
そしてゆっくりと、口を開いた。
「………原田さんの周りには、綺麗なひとが、たくさんいます」
原田は否定でも肯定でもなく、ただ頷いて先を促す。
「だから……想っているのが辛くて、嫌いになろうと、しました…。でも、心配で…それで、お役に立ちたくて、土方さんにお願いして、此処で……」
―――合点がいった。
制札事件の情報は、春が集めたから。だから土方は、あんな物言いをしたのだ。
はっ、と原田は顔を上げ、矢継ぎ早に訊いた。
「お前っ、浪士に変なことされてねえよな!?恐い思いしなかったか!?」
こくこくと頷く春を見て、原田は再び唐突に春を強く抱き締めた。
「悪かった…」
堪えた嗚咽が、胸の中で震えている。
「でもな、お前を他の野郎なんかに触れさせたくねえ……お前がいないと、笑っててくんねえと…頭狂っちまいそうなんだよ……」
手柄なんかより、大勢の女なんかよりも、ずっとずっと大切なもの。
「それに」
原田はゆっくりと身体を離すと、春の手を握って目を合わせた。
「お前以上の女なんて、絶対何処にもいねえ」
こんな綺麗なべべは着せてやれないかも知れない。
簪も挿せない、紅も差せない毎日が、いつまで続くかもわからない。
それでも。
「春、好きだ」
翳りも嘘もない真摯な瞳が、春を真っ直ぐに射抜いた。
「ずっと、俺の傍にいろ。…いいな?」
そして―――
「…はい」
恋しくて仕方なかったあの笑顔を、くれた。
「その顔、一生守ってやる」
「…はい」
二人はゆびきりをするように。
しっかりと手を絡め合い、口づけた。
「もう、お前は俺のもんだからな?」