White Valentine
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「―――春」
聞こえた声に、なぜだか涙が溢れそうになった。
あなたが、
あなたがあたしを。
「………懲りない奴だ」
見つめててくれたから。
「っ……あのね、」
もう、捨てたって捨てられないよ。
こんな気持ち。
「一年前から、ずっと……ずっと斎藤君のこと、好きでした……っ」
涙を堪えて、あたしはどうしようもなく恥ずかしい告白をした。
ねえ、
あの日もそんなふうに笑ったね。
「―――馬鹿者」
「へへっ…」
ぐすっ、と鼻を鳴らして涙を隠すと、あたしは笑う。
だけど斎藤君は、急に真面目な顔であたしを見上げたんだ。
「俺は………もっと前から、好きだった」
……え?
思いも寄らぬ言葉に、胸がきゅうっと苦しくなった。
「毎日そこに立ってるあんたを、ずっと見てた」
「っ……う」
嘘。
「ずっと、待ってた」
ねえ、ね、斎藤君。
あたし、今すぐ。
「っさいと、くん………キス、して……っ!」
真っ赤になる斎藤君、
振り返る自転車置き場の人たち。
―――雪が、降ればいいのに。
「……待っていろ……」
「待てない…待てないよ…っ」
触れたい、今すぐキスしてほしい。
あたしはベランダに座り込んで泣いた。
「ひっ、く…さいとー、くん…っ!」
「―――なんだ?」
僅かに弾んだ息が耳に掛かると、同時、あたしの身体はぎゅっと抱き締められた。
「……受け取っ、て、下さい……っ」
「………喜んで」
大切そうに小さな箱を手に取ると、彼は最高に甘いキスをくれた。
「………もう落とすな、と、言っただろう」
「ん…」
「もう、離さんぞ」
「……ん」
しずかなくちづけは目蓋を閉じて、
降ってきた雪にも気づかないの。
*end?
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「……ねえ、一」
「なんだ」
「あの日のこと覚えてる?」
「…雪が降る度、あんたからチョコを貰う度思い出す」
「あはは。あのね、あたし一がチョコ貰ってるとこ見て失恋したって思ったんだよ」
「そそっかしいのは変わらないな。……俺は受け取っていない」
「え?ほんとに?」
「本当だ。ひとつで十分だ」
「んー、それって?」
「………言わせるな」
「やーだ。言って?」
「…………春」
「ん?」
「来年のバレンタイン、結婚しよう」
*end