White Valentine
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「んー…」
ご飯を食べたら食べたで、午後は眠いのだ。
相変わらず前の席の人の背中に隠れて惰眠を貪っていたあたしは、つ、と目を開けた。
『起きろ!!』
途端に飛び込んでくる生真面目な文字。
サインペンみたいなもので書かれたそれを目にして、あたしはそれを掲げている人に視線を移す。
―――斎藤君。
あたしは少し幸せなお目覚めに感動しながらも、手探りでペンを探して真っ白なルーズリーフに走らせた。
『ねえねえ』
たった一言、
けれど彼は忠犬のように無表情で首を傾げる。
『斎藤君の好きな人って、だれ?』
ちらり、
掲げた次の瞬間、彼は珍しく顔を真っ赤に染めた。
「ばっ……馬鹿者!!」
静かな教室に彼の声が響いた。
「……あー、斎藤」
沈黙を破ったのは、世界史の原田先生の声。
じつに気まずそうに、あたしと斎藤君を交互に見ている。
「悪ぃんだが、残って課題な。百瀬は………もう課題まみれだが」
ぶっ、と吹き出す、クラスの人たち。
すぐさま下ろしたルーズリーフを小さく畳むあたしの隣で、斎藤君は恥ずかしそうに俯いている。
幸せすぎる、ああそんな顔しないでーっ!
悶絶するあたしを彼はじろりと睨んだけれど、そんなの気にしない!
ねえ、一年前、
あなたは覚えてますか。
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