お砂糖とS
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ことり、と茶を置くと、春は沖田の隣に座った。
火鉢も持ってきて、なんとも非経済的ではあるが、こうして縁側で話をするのがお決まりになっていた。
「ありがとう」
言ってから、沖田は湯呑みを持った途端にごほごほと咳き込んで、そして茶を啜る。
休んだほうが、なんて言っても彼が聞かないのはとっくに目に見えているから、春は何も言わない。
オレンジ色の空。
ふと、言葉が口を突く。
「飛行機、っていうのがあるんです」
「……ひこうき?」
いつもこんな風に、お伽噺の始まりは唐突だ。
「人を何百人も乗せて、外国まで数刻で飛んでいく、鉄のかたまり」
「鉄のかたまりが、空を飛ぶの?」
「はい、それも凄い速さで。……ちょっと待ってて下さいね」
春は懐から懐紙を取り出して、それを折る。
―――飛行機がないなら、紙飛行機だってないはず。
「内緒ですよ?」
興味深そうに見つめる沖田の前で、春は手早く折ったそれを縁側の先に飛ばした。
「へえ……」
沖田は馬鹿にするでもなく、ふわりと舞う紙飛行機を目で追う。
「凄い世界だね」
こくりと頷いて、春は湯呑みに口をつけた。
「―――それで」
「?」
「茶色い甘いものを渡す日って、なに?」
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