カノジョ。
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勢いよく扉を開けて、沖田は中に入った。
「沖田く……」
「##NAME1##ちゃん………っ!」
山南先生が止めるのも無視して、片隅のベッドへ走る。
静かな寝息を立てて、彼女は横たわっていた。
「春ちゃん、ごめん…!」
そっと顔を覗き込んだとき、ふとあるものに目が止まる。
―――沖田があげた、携帯のストラップだった。
眠そうな猫。
気づいてあげられなかった、
こんなに想ってくれていたのに。
「…ごめんね………」
白い手をそっと握る。
「……ん……」
ぴくりと指が曲がった。
「春ちゃん…?」
長い睫毛が揺れて、そしてゆっくりと開く。
「あれ…沖田、せんぱい…?」
薄く瞬きながら彼女は名前を呼んだ。
「なんで………」
「ごめん、春ちゃん…!」
やれやれと首を振って、山南は保健室の外へ出ていった。
彼女はしばらくしてから、はっと表情を変えて背を向けようとした。
けれどその手を、沖田は離さない。
「僕、君が平助くんと話してるの見て…嫉妬したんだ」
尚も顔を背ける彼女に、沖田は必死で話した。
「だから他の子と付き合えば、忘れられるんじゃないかって思ってた」
「……っ」
彼女の横顔が唇を噛む。
「でも」
ぎゅっと、その手を握って、沖田は言った。
「僕は、彼女にずっと君のこと重ねてた。……好きだったんだ、春ちゃんのこと」
小さな嗚咽が溢れ出す。
「…うそ、だ…っ」
「嘘じゃないよ。……ほら」
ブレザーのポケットから取り出した沖田の携帯電話には、
眠そうな猫のストラップ。
「女々しいけどさ、ずっと君のこと、好きだった。春ちゃんが平助といるの見て他の子で忘れようとしたけどさ」
やっぱ、無理。
沖田の頬が赤くなる。
そっと、彼女は手を伸ばした。
「ずっとずっと、好きでした」
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