第一章・第2幕【改変現代~天地戦争時代まで】
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___世界の“神”の間。
「……随分と派手にやられましたね。」
“神”がスノウを見てそう零す。
それに対し、立つこともままならないのか左腕を押さえ、座り込んでいるスノウは苦笑いを零した。
「はは、ごめん。折角転生させてくれた大事な体をボロボロにしてしまって。」
「いえ、治し甲斐があるというものです。…ただ、もう少し、ご自身の身体ですから大事になさったらどうですか?」
「善処するよ。」
「……彼の言ってた言葉が今なら分かります。」
「?」
「貴女の“善処する”という言葉はアテにならないということです。」
「レディと同じことを言うんだね。」
ボロボロではあるが、気力も体力も少しずつ回復していたので、スノウはいつもの様に話すことが出来ていた。
“神”はそのスノウのボロボロの体を見て、やれやれと首を振った。
「さて、先に貴女の体を治してしまいましょう。左腕も使えるようにしなくてはいけませんね。」
“神”が杖を一振りすると、スノウの体を光が包み込み見事にボロボロになる前のスノウへと戻っていた。
だが、左目には違和感を感じていたスノウは徐ろに左目を押えた。
「やはり、向こうの“神”に接触…というより、貴女の体に侵入を許してしまったことで、治りが悪いですね。」
「左目は今、どうなってる?」
「赤いまま、ですよ。」
「そっか…。」
少し残念そうにしたスノウを見て、“神”が再び杖をひと振りした。
するとスノウの手に小さな銃が収まった。
「かなり荒治療になりますが、左目を治すというのならこれを使ってください。」
「これは?」
「先日、貴女にお渡しするのを忘れていました。その銃には碧のマナが込められています。所謂、〈ロストウイルス〉対策というやつですね。」
「これを〈ロストウイルス〉に打てばいいのかな?」
「いえ。使い方としてはご自身に向けて撃ってもらって──」
「……え?」
何とも物騒なアイテムだ。
そんなことを思いつつ、スノウはその小さな銃を回したりして観察してみる。
どう見ても殺傷能力はなさそうな程、小さな銃だ。
それこそ、スノウの手にも収まってしまうくらい。
だが、幾ら殺傷能力が低いとはいえ、これを自身に撃てば何かしら怪我を被るのは目に見えている。
どういう使い方だろうか、とスノウが悩んでいるとその心を読んだ“神”が素直に答える。
「貴女は以前、ガンブレードをご自身に向けて撃たれたことがあるはずです。あの要領でその可愛らしい、小さな銃をお使いください。」
あたかも害は無いですよ、と言いたげなくらい“可愛らしい小さな銃”を強調してきた神に、スノウが思わず笑う。
「ふふっ。そんなに強調しなくても、神様を疑ったりしないよ。」
「一応、念の為、というやつです。」
「しっかし、ガンブレードって言葉を神様から聞くと何かしっくり来ないなぁ?」
神様の言ってるガンブレードは今自分が愛用している相棒であることを知ってるからこそ、遠い存在の人にそうやって名前を呼ばれると違和感を覚える。
そんな苦笑いをしたスノウに神は不思議そうな顔でスノウを見つめる。
「私は好きですよ。ガンブレード。」
「アニメやゲームの見すぎだよ。」
「あれらは勉強になります。人間は時に、神に対してどう願っているのか。こうしたら神を信じてくれるのか、と日夜勉強三昧です。」
「……あまり根を詰めすぎないように、ね?」
体調とか、そういうことではなく……、あれを元に勉強して信じすぎるのは良くないと思う。
そう心の中で思えば、神は相変わらず不思議そうな顔で首を傾げていた。
……そう言えば、神様は心の中が読めるんだった。
「まぁ、物は試しって言葉があるくらいだし…。一回使ってみるよ。」
「どうぞ。ちなみに脳に直接撃つか、心臓に直接撃つかのどちらかでお願いします。」
「何か意味でも?」
「どちらも致命傷に成りうる場所です。そういう場所は、直に撃つとマナの馴染みが良いのです。」
「へぇ?じゃあ、折角だから心臓に向けて……」
スノウが銃を手に持ちセットして、心臓に向けてトリガーを引いた。
すると見た目は小さい癖に、発射された弾はあまりにも威力が強すぎて、スノウ自身が吹き飛んでしまうという事態になってしまった。
暫く転がってピクリとも動かないスノウを見て、神様が頭を掻いた。
「……強すぎましたか。」
「お前は…!!!馬鹿かっ!!!!」
何処からともなく、しわがれた女の声がする。
その瞬間、世界の“神”は何者かに頭を叩かれていた。
思わず世界の神が頭を押さえると、近くに見覚えのある“神”がいて目を丸くさせた。
そのまま夢の“神”はスノウに近付くと、優しく抱き起こし様子を見ていた。
「容赦、という言葉を知らんのか、この阿呆!!!」
「す、すみません…」
夢の“神”の凄まじいまでの剣幕に、思わず謝ってしまう世界の“神”。
夢の“神”の腕の中でぐったりしているスノウに、夢の“神”が何度か声を掛けるとびくりと体を震わせ目を開けた。
「……あ、れ?」
「…!大丈夫か?」
「あれ、エニグマ?」
何事もなく体を起こしたスノウは目を丸くしながらエニグマを見る。
そして体が軽くなっていることに気付いた。
だが、左眼はどうだろうか…?
「エニグマ、私の左目どうなってる?」
「……まぁ、今は海色だな。」
渋々とそう言うエニグマにお礼を言って笑う。
何か体の重たさというか、倦怠感や、体の中にあった異物感が全部取れている気がする。
「貴女の中のマナを一度一掃するために、威力を上げました。……怒られてしまいましたが。」
「誰に?」
世界の“神”はエニグマを見て視線を逸らせた。
それだけでスノウが気付いてエニグマを見ては苦笑いを零す。
スノウには優しい隣の神は未だ怒りが収まっていないのか、世界の神に向けて怒鳴り続けている。
「当たり前だろう?!他のマナを一掃するために意識が飛ぶほどのマナを人間にぶつけるやつがいるか!!!」
「す、すみません…。」
「(神様にも上下関係ってあるんだなぁ…。)」
ガミガミと怒っているエニグマと、本当にしゅんとしている神様にスノウは苦笑いで聞いていたが、ようやく終わったようだ。
帰る、と一言告げたエニグマが瞬時に空間から消え、世界の“神”は「はぁぁぁ…」と大きく息を吐いた。
「……夢の“神”は私を憎んでいるのですよ。」
「??」
「自分のお気に入りが取られて拗ねているんです。」
「……エニグマも、人間の子供みたいに感情豊かなんだね。神様ってやつは、どこも淡白なのかと思ってたよ。」
「色々あるんです、神にも。」
困った顔で頷いた神様に、#スノウもそれ以上は聞くまい、と取り敢えず頷いておいた。
そして姿勢を正した世界の神はスノウを優しく見つめる。
「これで貴女の中のマナは碧のマナで満たされました。しかし、影響を受けやすいのも事実です。一応先程渡したアイテムは力の調整をしておきましたので、お使いください。」
「…使ったあとのこと、全然覚えてないね…。」
「威力が強すぎて吹き飛んだんですよ。」
「本当に調整されてるんだよね?」
「はい。信じてください。」
「……。」
若干の不安を抱きながら貰った銃をもう一度見遣る。
こんなに小さくともスノウくらいの体を吹き飛ばせるほどの力が込められるのだ。……余計に恐ろしく見える。
「ごほん。では、アイテムの使い方をお教えしましょう。」
「あ、うん…。お願いするよ。」
「えぇ。まず使い方としては、“ここぞと言う時”にお使いください。」
「例えば?」
「その銃は、所謂、ブースター機能だと思って頂ければいいと思います。……そうですね、貴女の知識で言うなら、オーバーリミッツを強制的に起こす、と言う感じですか。」
「…! あれを…強制的に?」
それなら凄い。
この世界ではオーバーリミッツではなく、スピリッツブラスターなんて呼ばれていたが、秘奥義とか使うのにその工程を踏まないと使えないシステム。
それがこのアイテムひとつで起こせるのなら神の御業だ。(まぁ、神のアイテムなのだが。)
「ブースター機能、か。」
「効果時間は様々ですが、その間はかなり身体能力も向上しています。だからこそ、“ここぞと言う時”なのです。」
「なるほど?例えば、それを仲間に撃つとどういう事になるか聞いても?」
「貴女なら体感したことがあるはずです。他のマナが体内に入り込めばどうなるか。」
「…やめておこう。」
この小さい銃でもあの莫大なマナの量を撃てるのだ。
きっと撃たれた人は苦しいに違いないだろう。
……絶対にやめておこう。
「〈ロストウイルス〉はマナを撃ち込めば倒せるって言ってたね?ということはこの銃の中身はマナだから撃っても別に支障はないよね?」
「支障はありませんが、彼らに撃つのは勿体ないですね。一度撃った後、次撃つまでには時間が必要ですから。」
「…流石にチャージ時間が必要か。」
「時間と共に回復はしていきますが、貴女が魔法を使っていけばその分マナがその銃に自動的に装填されていきます。そちらの方が効率的です。」
「なるほど。本当にここぞと言う時だというのが身に染みるね?」
「そうですね。だから大切に扱ってくださいね。」
再装填まで時間が掛かるのを鑑みても、本当に大事に使っていきたいが…、時間と共に回復すると言うし、定期的に使っておいて損もないだろう。
「もし他のマナが貴女の中へと入り込んだ時でも、それを対処的に使うのも手ですね。」
「…また吹き飛ばされない?」
「大丈夫です。ちゃんと調整しましたから。」
「なら、大丈夫か。」
そこまで神が言うのだ。信じよう。
「さて、ここからは私の〈御使い〉としての修行と参りましょうか。」
「あ、ハッキリと言うんだね。〈御使い〉って。」
「本当なら貴女には純粋にこの世界を楽しんで欲しかったのですが、事情が変わりました。この世界を救った暁にバラすのではなく、今言いましょう。貴女は私、世界の“神”の〈御使い〉なのです。」
最初飛ばされた時も純粋に楽しんできて、と言われていたしスノウ自身も楽しんでいたが、アーサーの存在やジューダスが夢の“神”の〈御使い〉になった話を聞いて、薄々勘づいていた。
一番の決定打はアーサーとの情報交換でだが…。
「私に世界を救って欲しい、というのは本当なんだろうけど…。本当に〈御使い〉の役目ってそれだけなのかな?」
「私の〈御使い〉である貴女にはこの世界を救うこと…、そして、この世界のマナ循環を良くすることを役目として担って頂きます。」
「マナ循環を良くする?」
「難しく考える必要はありません。ただあの世界で普段通りに魔法を使って頂ければ問題はありませんから。」
「あ、そんな簡単な事でいいんだ?」
「はい。貴女のマナは〈碧のマナ〉。ですが、貴女は特別なのです。」
「??」
「元々保有していたマナが貴女にはあるのです。それは〈碧のマナ〉との相性がとても良く、あの世界にとっても、とても良いものなのですよ。…喩えるなら、豊かな緑の木々たちが育むマイナスイオンみたいなものですね。」
「うーん。なんとなく…分かる気がする。」
要はマイナスイオンの効果でもあるのだろう。
そう思っておこう。
「その他で喩えるなら……、天から伸びる暖かな光に包まれる…といった感じでしょうか?」
「まぁ、何となく分かってきた。要は癒しの効果がある、ということかな?」
「あぁ、そんな感じですね。」
魔法を使うだけで世界が癒される、か。
何か壮大な話になってきた。
「マナが枯渇すれば、世界は滅びます。それは貴女もゲームを通じて分かっているでしょう?」
「そう、だね……。」
テイルズシリーズならではだが…、ファンタジアやシンフォニアがそう言った話だった。
結局マナに頼りすぎた人間が世界を滅ぼしてしまうのだが…。
「貴女はマナを世界にもたらす存在です。言うなれば、歩くユグドラシルですかね?」
「歩く世界樹かぁ…。何か私って凄かったんだなぁ…?」
「特にあの世界はマナという存在自体がありません。皆さんレンズで補ってますから。ですが、生活をレンズで補うとはいえ、マナはなくてはならないものです。……貴女が行かなければあの世界は滅亡の一途を辿っていたでしょう。ですから私は感謝しています。貴女という〈御使い〉が出来たことも、マナを循環させて下さってるのも含めて。……本当にありがとうございます。」
「やめてくれ。神様からお礼を言われるようなことをした覚えはないし、あの世界を救いたいのは私も同じだ。」
「貴女のその性格が、〈御使い〉に相応しいのですよ。……無垢な心を持ち、歪みを持たない純真な心を持つ貴女だからこそ。」
「前にも言ってたね?」
私、結構歪んでる性格してると思うけど?
そんな心の中の言葉も神様には通じていて、ゆっくりと首を横に振っていた。
「我々“神”から見たら貴女は喉から手が出るほど、欲しい逸材なのですよ。」
「それは光栄だ。」
神もスノウも笑えば、穏やかな空気が流れる。
しかしそうも言ってられない。
だってまだまだ私にはやるべきことが沢山あるのだからね。
「では、修行に入ります。貴女には私の〈御使い〉として、他人のマナを感じ取れるようになって頂きます。」
「他人のマナを感じとる?」
「マナにはそれぞれに色があります。私の持つ〈碧のマナ〉の他、〈赤のマナ〉、〈薄紫のマナ〉、〈黒のマナ〉や〈白のマナ〉など、それぞれあります。」
「へぇ。色とりどりだね?」
「“神”によっても違いますからね。その“神”の数ほど色合いが違うのです。」
「うわぁ、覚えるのが大変だ。」
「まぁ、今はまだ感じ取れることに集中して頂ければいいですよ。」
すると、スノウの周りに人間が何人も現れる。
それはスノウにとって見覚えのない人間だが、その人間たちはスノウから見ても、何処か生気がないように見えた。
「私が作り出したダミーです。これらは、それぞれマナを持っています。では、何色のマナがあるか見極めてください。」
「……と、言われてもなあ…?」
いきなり言われても困る。
今までマナを感じ取るなんて出来なかったからこそ、〈ロストウイルス〉関連のことで悩んでいたのもある。
恐る恐る立ち上がり、スノウは周りにいる人間をよくよく見てみる事にした。
近付いたり、遠ざかったりしてみるが…。
「……全く分からない。」
ここに居る皆、普通の人間に見える。
マナに色があるというが、私からしたら無色透明だ。
「うーん…。」
「苦戦していますね。」
「見方が分からないというか…。なんというか…。」
「そうですね。ではこうしてみてください。貴女の中に流れるマナをまずは感じてみてください。」
「???」
取り敢えず目を閉じて胸に手を置いてみる。
身体の中で巡っているマナに意識を向けると、真っ暗な視界の中に淡い光が見えた……気がした。
「それは何色ですか?」
「……綺麗な、緑…?いや…青でもなくて……。────海色?」
「そうですね。海色…、または"碧"色ですね。詳細に言うのであれば緑がかった青とでも言いましょうか。それが貴女のマナの色です。さあ、そのままゆっくり、目を開けてください。」
言われた通りにスノウがゆっくりと目を開けると、そこには先ほどまで何もなかった人間たちの胸辺りに何かの光が灯っている光景だった。
人間によってさまざまな色をしていて、それはぼんやりと光を灯している。
「もしかして、これ…。」
「見えましたか?これが、マナと呼ばれるものです。では左から順番に色を言ってみてください。」
「…赤、黒、薄紫、……えっとこれは…ショッキングピンク?濃い桃色だね。」
「ふむ、素晴らしいです。一気に〈御使い〉として覚醒するとは、私も鼻が高いです。」
「本当に様々な色があるんだね…?」
「はい。特に気を付けて欲しい色が赤、黒、濃い桃色……言い出したらキリがありませんが、大体その色ですね。」
「へえ?まぁ、何の神かは今は置いておくよ。」
「そうしてください。では次行きます。」
こうしてスノウと神は修行を続けた。
マナを見極めるのに、まだ目を閉じて瞑想をしないといけないがそれでもマナの見分けくらいはつくようになった。
そんな中、スノウの様子を見ていた神がスノウへと話しかける。
「___休憩にしましょうか。」
「はぁ、そうしてもらえると助かるね…。」
その場に座り込んだスノウは大きく息を吐いて一息ついた。
そして脳裏に思い出すのはジューダスのことで、ふと今どうしてるかな、なんて思ってしまえばそれは神にお見通しで…。
「彼なら今また修行に励んでますよ。貴女と同じ〈御使い〉になった自覚を持たれたようで。」
「ジューダスは夢の神の〈御使い〉だと言っていたね?夢の神の〈御使い〉って一体何をするのかな?」
「一言で表すなら、人間に襲い掛かる悪夢を祓う役目、ですかね。」
「??」
「例えば、貴女が悪夢を見ていたとしましょう。彼はその悪夢を振り払う力を持ち、唯一それに立ち向かう力を持っています。」
「え?だって人間、夢なんて寝てるときにいつでも見るし、悪夢なんて数えきれないほどこの世に存在してると思うけど…?」
「そうですね。だからこそ神だけでは手が足りないので、そこで〈御使い〉の出番という事です。」
「…もちろん、危険なんだよね?」
「それは勿論、危険がつきものです。場合によってはその者の夢に取り残されることもありますし、見た悪夢によっては自我を失いかねない。そんな役目を持った〈御使い〉なのです。」
「……。それって、私は…」
「彼と同じことを言うのですね。」
「え?」
まだ何も言っていないのに、神はそう言って笑う。
それを見てスノウは首を傾げた。
「彼も貴女の役目を聞いて、自分も手伝うと言っていたんですよ。ですが、〈御使い〉というのはお互いの役目に干渉は出来ません。それこそ、貴女が悪夢に立ち向かう力が無い様に…、彼もまたマナや世界を救う事に関して干渉できないのです。」
「……そっか…。そう、なんだ…。」
「落ち込む必要はありません。」
「??」
「干渉は出来ませんが、お互いを助け合うことは出来ますから。心のよりどころ然り、助言然り…。そしてちゃんと相手の元に帰りたいという気持ちが出てきます。彼が貴女の元に帰りたいと願う様に、貴女も彼の隣に居たいのでしょう?なら、やる事は違えど目的は同じですね。」
「物は言いようだ。」
「ですが、本当の事でしょう?」
神は笑ってそう話す。
神というのは私の考える事全て分かっているから質が悪い。
「失礼ですね。質が悪いとは。」
「はは。そうだった。心が読めるんだった。」
「いくらでも読めます。」
「ははは。じゃあ、何か読まれる前に修行に戻ろうか?」
「そうですね。次の段階も待っていますから、楽しみにしていてください。」
「お手柔らかに、だ。」
スノウはその日から修行を積む。
その裏ではジューダスもまた、〈御使い〉としての力をつけていく。
二人が再び再会するのは、まだもう少しかかりそうだ。