第一章・第2幕【改変現代~天地戦争時代まで】
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毎朝の稽古はかかさない。
スノウはロニと外でいつもの様に稽古を続けていた。
「ははっ!まだまだ!」
「おりゃああああ!!!」
激しく次々と入れ替わる攻防戦。
スノウは自身の相棒を手に、次々と攻撃を繰り出していた。
それを息を切らし、呼吸を整えながら座って見ているカイルとジューダス。
2人もまた特訓に来ていたのだが、先にバテたカイルの為に休憩がてら2人の稽古の見学をしていたのだ。
「くそっ!」
「残念。左が甘いね?」
そう言って身を翻し、ロニの左に行くと彼の脇腹へ相棒をトントンと軽く叩いてやる。
それにロニは、荒い呼吸を出しながら諦めたようにその場に倒れた。
同時に彼の相棒であるハルバードが重い音を立てながら横に転がる。
悔しそうに腕を目に宛てがい、悪態を吐く彼にスノウが労いの言葉をかけた。
「この間よりも斧の振りが早くなっている。素晴らしいね?君たちの成長は目覚しいものがあるよ。」
「あーくそっ!!何でいっつも勝てねぇんだよ!」
「ふふっ。なんでだろうね?」
彼の隣に座り、笑いを零すスノウにロニが少しだけ腕をずらしそれを見たが、すぐに不貞腐れたように腕を戻してしまった。
それを見ていたカイルとジューダスは、2人へと駆け寄り労いの言葉を掛けた。
「スノウ。お前、大分斧への対処も出来てくるようになったな?」
「君の目からそう見えるってことはそういう事なんだろうね。有難いな。」
「だが、僅かに集中が切れる時が何回かあった。目の前の事に集中しろ。……まぁ、アレが居るからなんだろうが、な…。」
ジューダスの視線の先にはこちらに向かってくる魔物の姿があった。
カイルは武器を手に持ち攻撃を仕掛けるが、その攻撃をすり抜けると魔物は攻撃してきたカイルには目もくれず、スノウの方へと向かって行った。
瞬時に皆が〈ホロウ〉だと気付き、顔を顰めさせた。
一人苦笑いで見ていたスノウは立ち上がると、相棒ではなく銃杖を構える。
その場で詠唱を唱えると銃杖をクルリと回し、魔法を発動させた。
「___スーサイドエコー」
スノウが魔法を唱えた瞬間、何が起こったか分からないくらい静かに魔物が倒れる。
音もなく終わったその戦いにカイルとロニが驚いた様にスノウを見る。
「え?!さっき何したの?!」
「俺にも見えなかったぜ…?」
「……昨日も使っていたな?初めて見るが…」
「そうかもしれないね?最近覚えたての技だし、皆の前では初めてかな?」
「それがありゃあ、魔物なんて簡単なんじゃねえか?」
ロニが体を起こしスノウを見上げるが、スノウは首を横に振った。
「一応魔法の一種だからそういう訳にはいかないんだ。あの魔法はちゃんとダメージで入っているから、ただ単純にさっきの魔物が弱かっただけだろうね?」
「どういう効果の魔法なの?それ。」
「殺人的な音の反響を起こし、相手に攻撃をする技…だね?皆には聞こえなかっただろうけど実際には、かなり攻撃的な音が鳴り響いていたんだ。いわゆる無属性や音属性と言われる属性の技になるかな?」
「音属性って聞いたことないよ?!」
「……昔はあったんだけど…、今は馴染みないかもしれないね?」
「あぁ、ジョニーか。懐かしいな。」
懐かしむ様にジューダスが遠い目をする。
デスティニー時代……カイルたちで言うと18年以上前の事だが、ジョニーという男性がいた。
その彼が音属性の使い手だった。
しかしそれを思い出したのか、ジューダスの顔が徐々に歪んでくる。
「……だがあいつのは、ただただ煩かっただけだ。」
「ジョニーっていやぁ、神の眼の騒乱の時に活躍した英雄の1人、だったよなぁ?」
「そっか!2人は知ってるんだよね!」
「……まぁ、ね?」
濁す言い方をしたスノウ。
それにジューダスは顔を歪めたが、カイルの言葉には頷いて見せた。
そしてカイルの興味はまた先程の技に…。
「ねぇねぇ!さっきの技ってどんな音がするの?」
「つーか、術者であるスノウにもその音は聞こえないんじゃねぇのか?」
「……………少しだけね?」
「さっきの間は怪しいぞ。」
「ははっ。だから何度も何度も技を使って、塾練度を上げて調整するんだよ。」
「オレ聞いてみたい!」
「バッカ!やめとけ!死ぬぞ!」
ヤーヤー言う2人に、スノウが可笑しそうに笑い、ジューダスも流石に引き攣った笑いをしていた。
そんな中、炊事当番を務めていたナナリーとリアラが合流し、仲間達の様子を笑顔で見ていた。
「随分と楽しそうじゃないか!」
「何かあったの?」
「新しい技をお披露目したらこうなってしまってね?2人はもしかしてご飯が出来たことを知らせに来てくれたのかな?」
「一応そのつもりだったんだけど……。あの兄弟喧嘩、止まるのかい?」
「お腹がすいたら自然と止むさ。」
「ふん、そうだな。放っておけ。」
もう何の喧嘩なのか分からないが、未だ喧嘩をしている2人に皆が呆れながら笑う。
黄昏都市レアルタに食事出来る所があるものの、同じメニューばかりだから飽きる、とカイルが言ったのがきっかけで2人が朝食を作ろうと頑張ってくれたのだった。
その2人からとある提案があった。
「このままだと食材を切らしそうなんだ。だから今日は食材を集めたいと思うんだけど…どうだい?」
「仕方あるまい。食事に事関してはあいつが煩いからな。」
「彼の了解も得たし、後はカイルがどうするか決めると思うけど、私もその提案には賛成かな?……少し、休みたいのもあるしね…。」
視線を逸らせたスノウを全員が見る。
先程といい、調子が悪そうには見えなかったが本人がそう言うという事は何かしら不調があるのだろう。
それを聞いた全員が頷くと、ナナリーが手を叩きカイル達を呼ぶ。
「ほら!アンタたち!ご飯が出来たよ!」
「え?!ご飯?!」
カイルがいち早く気付きナナリーの方へと駆け寄る。
ロニが「いててて…」と言いながらこちらに寄ってくるものだから、スノウが再び銃杖をクルリと回した。
「__キュア。」
「お、サンキュ!スノウ。」
「どういたしまして?」
頭に手をやり、仲の良い兄妹のように頭を撫でるロニ。
そしてスノウもまた笑いながら擽ったそうにしていた。
それを見ていたジューダスが、カイルに視線を運び腕を組む。
「ともかく朝食を食べながら今後のことを話すぞ。」
「分かった!早く行こう!皆!」
脱兎の如く、カイルがご飯の方へと走り出すので炊事当番のナナリーが慌てて追いかける。
「カイル!皆の分も残しとくんだよ?!」
「やっべ…。あいつ1人にさせたら何するかわかんねーぞ…!!」
ロニも慌ててカイルを追いかけ、リアラも笑いながら走り出した。
やれやれと肩を竦めたジューダスも、流石にご飯がないのは困るとばかりに走り出し、それに続いてスノウも苦笑しながら走り出した。
「うちの大食漢は凄いなぁ…。」
そんな事を思いながら前を走る彼らを見て、今度は可笑しそうに笑ったのだった。
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結局朝食中に話し合って決めた今日の予定は、“沢山の”食材を集める、という予定に決まったようだ。
大事な事だからもう一度言う。
“沢山の”食材だ。
「よーし!くじ作ったから皆取ってよ!」
カイルが木の棒で作った簡易的なくじを手にして、それを皆の前に出した。
それを不思議に見つつも、皆はそれぞれ一つずつそのくじを取っていく。
スノウが取ったくじを見ると、そこには汚い字で“山”と書かれていた。
「……山?」
「お?スノウも山って書いてあるのかい?」
ナナリーがそう言ってスノウのくじを覗き込んだ。
スノウもまたナナリーのくじを見ると、そこには確かに汚い字で“山”と書かれていてお互いに笑い合う。
何となく分かったのだ。
カイルの言わんとしてる事が。
「俺は海だぜ?」
「あ!私もよ?」
どうやらリアラとロニは海らしいので、残るカイルとジューダスには何が書かれているのだろう。
山と海で大分食材は取れると思われるのだが。
「じゃあ、オレとジューダスは川ね!」
「……。」
ジューダスが眉間に皺を寄せ、嫌そうにしている事からどうやら彼のくじにも川と書かれていたのだろう。
嬉しそうにジューダスと肩を組むカイルに、スノウがこっそり笑みを零す。
甥御となら楽しくやれるだろう、とスノウは少し安心していたからだ。
「さて。決まったなら行こうか?ナナリー。私達が一番遠いからね。」
「確かに…。そうだね!早いところ行こうか!」
ナナリーの手を取り、外へと向かうと燦々と降り注ぐ太陽が容赦なくスノウ達へと降り注ぐ。
その後ろから各々外に出てきては太陽を見て目を細める。
雲一つない空に、澄み渡った空の色…。
それはまさに…
「絶好の食材収集日和だね!」
「沢山集めてあいつらの腹をアッと言わせようか!」
「ははっ。そうしますか!」
手を繋いだまま私たちは元気よく走り出した。
折角の休暇なんだから楽しまなくちゃ損だからね。
そんなスノウ達の様子を見た仲間たちは笑ってそれを見送った。
「二人とも元気だね!」
「全くだぜ…。若いもんはいいなぁ?あんなに元気が有り余ってて。」
「ふふっ。まだロニも若いわよ?」
「もう20代になると10代が若く見えるんだよ。…さて、俺たちも行きますかっと。」
「ええ!」
リアラとロニもまた歩き出していき、カイルとジューダスも歩き出す。
それぞれ違う道だけどやるべきことは決まっているので、心は一つだ。
「たっくさん食材集めよう!ジューダス!」
「あぁ。どこぞの育ち盛りのために、な…。」
「それってロニの事?」
「…お前のことだ、馬鹿。」
こうして仲間達は食材集めに勤しむのであった。
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スノウ達は近くに見えていた山に入ると、目的の食材たちを探していく。
しかし季節が良かったのか、見る限りキノコやら山菜やらがそこら中に見え隠れしているではないか。
なんとラッキーな事だろう。
これなら皆よりも先に帰ることが出来て、お腹をすかせた皆へ何か先に作ることも可能だろう。
だが、山での食材集めで一番気を付けなければならない事がある。
それは、”猛毒”のある食材を見分けなければならない事だ。
「こうキノコとかあっても、いまいち食べれるかどうかの見分けがつかないね…。」
「それなら私に任せてくれ。」
「流石だね!毒があるかどうか分かるのかい?」
「あぁ、そうだね。まぁ知ってるというより魔法を使って見分けるってやつかな。だから毒の可否は私に任せて、ナナリーは食材をとにかく集めてくれ。頼んだよ?」
「りょーかい!取り敢えず持てるだけ持ってくるからね!」
「私も手伝うよ。…それに手分けをした状態で野生のクマにでもあったら大変だからね。一緒に行こうか。」
二人で地面を見つつキノコや山菜を取っていく。
急な斜面では手を繋ぎながら。
キノコの選別はスノウが魔法を使いつつ選別。
地味な作業が続くが二人は楽しみながら食材を集めていた。
「山ってこんなに沢山食材があるんだねぇ。アタシの所の近くの山っていったら火山しかなかったからちょっと新鮮だよ。」
「そういえば、そうだったね?火山では食材も取れないだろう?」
「まぁ、ここみたいに緑豊かな山に比べたら少ないかもしれないけど、それでもあった方だと思うよ?トラッシュマウンテンの方が何にもない山だったよ…。」
「ふふっ。もう今や懐かしいね?」
「まさかアンタたちとこうやって旅するなんてあの頃は思いもしなかったよ。でも、今は付いてきて良かったって思ってるんだ。」
「へえ?その心は?」
「何だろうね…。アタシにも分からないけど、今までにない何かが得られそうなんだよ。アンタたちとの旅はね。」
「そうか。なら、その得られるものがある様に今は食材をしっかり集めてどっかの誰かさんの腹を満たすとしますかね?」
「ははっ!本当だよ!カイルを見てると食事もいつもより作り甲斐があるよ!」
「彼は大食いだからね。ロニと相まって食費が大変だ。」
「ジューダスも食べる方だと思うけど…。でもあの二人に比べると小食の方だね。育ち盛りなのに大丈夫なのかい?あの人。」
「ふふ。彼は好き嫌いが多いからね。それもあるんだと思う。」
「…たまにアンタの所に嫌いなもの入れてるだろ?アタシだってそういう所、しっかり見てるからね。」
「ふふ。見られてたか。」
悪びれもなくそう話す私にナナリーも可笑しそうに笑った。
ジューダスは食事の時になると、よく私の隣に座るのだが…実はそういった理由があるからだった。
野菜やら何やら嫌いな彼がたまに私の皿に嫌いなものを乗せてくるのだ。
それをいつも見て見ぬふりをして食べるのだが、どうやらナナリーにはバレていたようだ。
「全く…。ジューダスも大人のように見えて、たまに子供っぽい所があるんだから驚きだね。」
「そこが可愛いところじゃないか、彼の。」
「甘やかしすぎはあの子にも良くないよ?」
「ふふっ!肝に銘じておきますよ。お母さん?」
「お母さんって歳じゃないんだけどね…。…じゃあ、お母さんとして言わせてもらうけど?あんたもちょっとは食べなよ。皆よりも小食なんだから。」
「そうかな?結構頂いてると思うけど?」
「アタシからすると少ないんだよ。別に、ダイエットしてる訳な訳いんだろ?」
「これ以上筋力を下げる訳にはいかないかな?」
「だったら、余計に食べな?アンタ、ただでさえ細すぎるんだから。見てて心配になっちまうよ。」
「……太ったら動けなくなるけど?」
「そんなの気にしないで良いくらい、アンタは痩せすぎなんだよ!」
食材集めの傍ら、そんな会話を繰り広げていると何処かの茂みからガサガサという音がして二人で息を止める。
こんな場所に現れるのは獰猛な動物か、それとも魔物か…。
息を止めて音のした方へと視線を向けた私たちはいつでも戦えるように武器を手にした。
私は相棒を、ナナリーは弓を持ち緊張感を漂わせ、ひたすら臨戦態勢を取る。
そして、現れたのは___
ぴょこ
__白いウサギだった。
何だ、と肩を落とす私達だったが、顔を見合わせるとふと笑ってしまった。
何が可笑しいかは分からないけど、何でか可笑しかったのだ。
緊張を解いた私たちに近付くウサギを見て、ナナリーが手を伸ばす。
そのまま優しく抱き上げると、大人しく腕の中に納まって辺りを見渡しているウサギ。
「可愛いね…!」
「随分と人慣れをしてるんだね?逃げもしない。」
「確かにそうだね…。大体動物っていうのは人間を見ると離れていくものだけど…。」
「まぁ、でも私は癒されるものが見れて満足だね。小動物を抱いて笑顔になる女性は絵になるよ。」
「アンタ…またそんなこと言って…。」
「ふふ。こういう性分なんだ。仕方ないだろう?」
「まぁ性格ってのは一長一短で変わらないしね。敬語だった頃のアンタが懐かしいよ。」
「ナナリーはそんなに長い間、敬語の時の私を見てないと思うけど…?」
「余計に懐かしく感じるよ。」
「それもそうか。」
これまた他愛ない話をしていると再び別の場所からガサガサという草をかき分ける音がした。
ウサギが慌てて逃げていくことから只事じゃないと、武器を再び手に持つとそこにはロニくらいの大きさのエッグベアが現れた。
「うーん…。飛んで火にいる夏の虫…かな?」
「言ってる場合かい?!早く仕留めるよ!!」
エッグベアの肉と言えば食用としてかなり有用である。
クマの魔物バージョンでかなり獰猛な上、エッグベアの主な食事は肉食である。
その為、エッグベアは人間を襲う事もあり、かなり危険な魔物として知られている魔物だ。
「久しぶりに前線に出ますかね…!」
「気をつけなよ?!そいつの爪にやられたら命に係わるからね!」
「了解!」
毎朝の稽古の成果、ここで見せようか!
私がそのまま相棒を持ち、武器を振りかざすとエッグベアが危険を察知したのか大きく後退し、雄たけびを上げた。
すると辺りからキラービーが現れ、ナナリーと共に驚く。
まさか、魔物が別の魔物を呼ぶなんて知能を持ち合わせているとは。
「これはまずいかな?」
「キラービーは任せな!撃ち落としてやるよ!」
「ははっ。頼もしい事で。」
やはり山はこういう危険と隣り合わせである。
二人一緒で良かったと本当、心底思った。
これでナナリー一人だったらと考えると、悔やんでも悔やみきれない。
「ふっ!!」
相棒をエッグベアの胴体へ叩きこむと僅かだが隙を見せる。
そこへ容赦なく連続で攻撃すると、相手の怯む時間が長くなってきたので最後は得意の魔法弾で仕留める。
相棒を銃に変え、エッグベアの頭へと魔法弾を撃ち込むと悲鳴を上げその場に大きな音を立てエッグベアが倒れた。
すぐさまナナリーの応援に行こうとしたが、どうやら杞憂だったようだ。
「お疲れ!スノウ!」
「お疲れさま。ナナリー。流石だね?」
「飛んでる敵ならアタシの出番さ!それよりも怪我はないかい?」
「全くだよ。ナナリーは怪我がないかい?」
「アタシもないよ。…でも、もしアンタが怪我してもアタシは包帯とか、絆創膏で止血するしかないんだけどね…。」
「ナナリー…。」
「こういう時、回復系の晶術が使えたらなって思うよ。」
「でも、ナナリーは人一倍そうやって気を使える女性だ。それだけでも嬉しいものなんだよ?」
「…スノウ……。ありがと。」
「どういたしまして。勿論、私がもしも怪我をしたなら、優しく看病してくれるだろう?」
「看病くらい任せとくれ!」
腕に手を当て力こぶを作るナナリーに微笑むと、向こうも少し気が紛れたみたいで微笑み返してくれる。
さて、食材集めの続きと行きたいところなんだが…。
「もう日が暮れそうだね。」
「流石にこれ以上すると日が暮れて皆を心配させてしまう。そろそろ帰ろうか。食材もたくさん集まったしね?」
「そうだね!一番の収穫はエッグベアの肉だね!」
「ふふ。皆、驚くと思うよ?」
「よし…!そうと分かったら帰ろうか!」
食材を持ち、帰路につく私たちは夕日を見ながら今日の事を話し合う。
楽しかったね、とかあのキノコは実は毒があって…なんて、他愛ない話をしていたが、本当に今日は純粋に楽しめたと思う。
折角なら、ロニと今どういう感じになってるのかとか聞いてみたかったけど、それは野暮ってものだから我慢しておいた。
さあ、皆が待ってる場所へ帰ろう。
___この時の私は事態の深刻さにまだ、気付いていなかったんだ。